「皆さん、日本が1位になりました!」といっても喜べる1位ではありません。
昨年、2018年の気象災害の影響をランク付けした報告書で、第1位が日本でした。
確かに昨年は7月に近畿や四国で被害が大きかった西日本豪雨(死者224人)でした。また9月には、台風21号によって関西地方は都市機能が麻痺し、関西国際空港が使用不可にもなりました。
ですから、日本が1位と言われても「なるほどなぁ」と思うわけです。
この報告書はドイツの非政府組織(NGO)「ジャーマンウオッチ」が発表をしたもので、台風や洪水、熱波、寒波などの気象災害がどれだけ起きたか、またその被害を分析して発表しました。犠牲者数や直接的な損害額を積算しているんですが、あくまでも「気象災害」のみです。
昨年は北海道胆振東部地震では、北海道全体が停電となり生活に大きな影響が出ました。もちろん経済活動にも大きな影響が出たわけですが、そういった地震の影響は加味されていません。
さてその分析の結果、日本の損失額は3兆9000億円で、全181ヶ国中トップになりました。
2位はフィリピン、 3位はドイツ、4位はマダガスカル、5位インド、そして以下はこうなっています。
2018年気象災害の被害規模が大きかった国
1(36)日本 約3兆9000億円
2(20)フィリピン
3(40)ドイツ
4 (7)マダガスカル
5(14)インド
6 (2)スリランカ
7(45)ケニア
8(87)ルワンダ
9(42)カナダ
10(96)フィジー
※カッコ内は17年の順位
死者数や経済損失などを計算して出したランキングですが、そうなれば日本のような経済国というか先進国は金額が大きくなるでしょう。途上国は災害の予知警戒情報などの伝達、いざ災害というときにもそれに耐えうるインフラの整備などが、なかなか進んでいないと思われます。その意味では、途上国は被害は大きくなるかもしれませんが被害額は小さいかもしれません。一方の日本は、ひとたび災害が起きれば、電車などの都市機能が止まるなど、損失額が大きくなってしまいます。
先月はイタリアのベネチアが「水の都」から「水没の都」になってしまいました。これは被害が大きいですから今年はトップ10に入っていませんでしたが、来年はランクインするかもしれません。
ちなみに日本は前年(2017年の気象被害ランキング)36位から1位ということでした。今年も台風が毎週のように来て被害が大きかったので、もしかすると2年連続1位になるのかもしれませんね。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年12月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。