国民民主党の玉木代表が20日、共産党の志位委員長と会談し、次期衆院選での協力する方向で合意したことが、この週末、ネット上の政治ウォッチャーたちの話題になった。
衝撃を与えた理由は、野党の中でも数少ない保守中道的な位置付けとして期待する一部の人たちを落胆させただけではない。党首会談に先駆け、玉木氏が自らのYouTubeチャンネルの収録で、志位氏とピアノ演奏で“共演”したことが明らかになり、ネット上で波紋を広げている。
野党共闘路線に邁進する共産党は大歓迎。同党の宮本徹衆議院議員はツイッターで「玉木さんと志位さんに、ピアノという共通の趣味があったんですね」と嬉しそう。
共産党支援者のアカウント「JCPサポーター」も「なんかすごいことになってるんですけど」と感涙もひとしおといったところのようだ。
一方で、国民民主党と共産党の接近に失望する人は多い。かつて民進党時代まで行動を共にした細野豪志衆議院議員は「ただただ残念だ」と嘆きつつ、「二大政党の夢は終わった。私は自らが選んだ道を行こうと思う」と、自民党入りを目指す自らの決意を改めて示した。
すると、国民民主党の原口一博氏が細野氏のツイートを引用し、「戦争屋、金融ハイエナ、占領従属…。亡国の統治の危機を放置して今もなお冷戦期の右左の頭で考えてはならない」「今や志位さんの方が領土問題も明確に主張している」などと、共産党を好意的に評価し、今回の接近を“正当化”した。
しかし細野氏は「お世話になった先輩に申し訳なく思いますが、ここは道を異にしたのだと思います」と決別の意を毅然と示した。
また、アゴラ執筆陣では、岩田温氏が自らのYouTubeチャンネルで今回の接近を取り上げ、国民民主党を手厳しく批判。
さらにアゴラ編集長の新田哲史が、玉木氏と志位氏のピアノ“共演”に唖然としていると…
こちらもかつては細野氏と同じく、民主党時代は国民民主の多くの議員たちと行動を共にし、いまは自民党に移籍した長島昭久衆議院議員が「利用してるつもりで、利用されてるだけのような。いや、どっちがどうとまで言うつもりはないけど。ただ、どっちが上手かは明らかなんで、心配だな。ボソ」と懸念を示していた。
国民民主党を巡っては、森ゆうこ氏の問題が起きた頃から迷走している感が強まり、ネット上では「“ダークサイド”に落ちた」と嘆く意見も増える一方だった。
「ダークサイド」は映画スターウォーズシリーズで描かれる「悪の道」のことだが、玉木氏と志位氏が会談した20日は奇しくも最新作『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(Star Wars: The Rise of Skywalker)』の日米同時公開の日だった。