IR(統合型リゾート施設)関連の中国企業から現金300万円などを受け取った疑いがあるとして、東京地検特捜部が25日、自民党の秋元司衆議院議員の収賄容疑での逮捕に踏み切った。現職国会議員の逮捕は約10年ぶり。贈賄側の業者関係者3人も同日逮捕された。
NHKニュースによると、秋元議員は、IR担当の内閣府副大臣だった2017年9月、日本へのIR参入を目指していた中国企業「500ドットコム」側から東京都内で現金300万円の賄賂を受け取った疑いで調べられている。
IRを巡っては、推進法と実施法がすでに成立しており、年明けに政府が基本方針を示し、誘致をめざす各自治体の動きも活発化する見通しだったが、IR担当の副大臣(当時)に収賄の疑いが出たことでマイナスイメージは大きいといえる。
一方、秋元議員の事務所が家宅捜索されるなど、IR疑惑が浮上してから、野党がこの問題に熱心ではないという見方が、保守系論者や保守系メディア、右派のネット民の間で流布されている。
尖閣諸島の中国漁船衝突の動画を告発投稿したことで知られる元海上保安官の一色正春氏はツイッターで「これは、結構大事件になる予感なのに、いつもは、疑惑だけで大騒ぎする野党が黙りなのはなぜ」と投稿。
さらに、元警視庁警察官で、作家の坂東忠信氏もツイッターで「中国が関わるこの国会議員収賄問題、逮捕だそうですが、がっちり自民がらみであるにも関わらず、野党のツッコミがものすごく微弱なのはなぜだろう?」と投稿。
ほかにも有名右派系ネット動画の関係者がツイッターで
モリカケ、桜を見る会には、あれだけ熱心な野党マスゴミの食いつきが悪いのは、カネの出所のせいなのか? 野党の皆さん、疑惑追及はどうした? 何となく期待してますが、見事にスルーするでしょう。
と投稿すれば、東京・大田区議の犬伏秀一氏はブログで「野党のインチキ野郎!なぜ追及しない?」と題した投稿をし、
秋元議員の話など、花見の招待客より重要な事件であるにもかかわらず、マヌケ野党諸君はダンマリです。なぜでしょうか?勝手な推測ですが、中国様のご機嫌を損ねたら大変だからではないでしょうか。
といった指摘をした。
こうした人たちの発信が「火元」になったのか、ネット上では「野党が桜を見る会には熱心だが、秋元議員の疑惑にはダンマリ」といった言説が広がっていったとみられるが、実際に野党は「黙殺」していたのだろうか。
野党は秋元議員逮捕1日前の24日に国会内で合同ヒアリングを開催(参照:NHKニュース)。内閣府の担当者らに対し、秋元氏とIR事業者との面談記録提出を要求したが、捜査中を理由に拒否された。ただ野党側は、政務三役(大臣、副大臣、政務官)のIR事業者と接触することを制限するべきという意見も出しており、今後の国会で提起する可能性もある。
また秋元議員逮捕の一報を受け、立憲民主党の安住淳国対委員長は記者団に対し、臨時国会で徹底追及する意向を示した(参照:時事通信)。さらに安住氏ら野党3党の国対委員長は、このIR疑惑でも追及本部を設置し、閉会中審査の開催を要求することで一致。年明けの通常国会では、カジノ営業禁止法案を提出する構えを見せている(参照:共同通信)。また、共産党の小池晃書記局長は秋元容疑者の議員辞職を要求している。
保守系論者の人たちがなぜ「野党がダンマリ」と決めつけたのか理由は定かではないが、実際、横浜市のIR誘致方針表明を巡っては、すでに地元の野党議員も加わってカジノ反対運動を展開しており、秋元議員の事件は格好の政局材料となるのは容易に考えられた。
ただし、「野党ダンマリ」説が広がった理由としては、臨時国会が終わり、政治ニュースの露出量が大きく減ったことや、国会議員も地元の選挙区に帰り始めるなど「年末モード」に入ったこともあるかもしれない。
あるベテランの国会議員秘書は「秋元が逮捕されたことで年明けの国会はまた大変なことになりそう」と話しており、報道ベースでも「波乱含みの展開」(テレビ朝日)を指摘する声が強まっている。