あけましておめでとうございます。広島市議会議員(安佐南区、自由民主党)・むくぎ太一(椋木太一)です。
さて、8月6日の平和記念式典で、一部のデモ団体らが「アベたおせ」「アベ帰れ」などと拡声器で叫んだり、太鼓を打ち鳴らしたりするため、式典の静謐な環境が保てない状態が続いていることは、以前アゴラでも紹介しました。
そしてこの問題について市が、参列者を対象にこの騒音に関するアンケート調査を実施し、その結果についてもご報告しました。
「式典と厳粛な環境の関係について」という問いでは、全体の71%が「式典全体を通じて厳粛な環境が必要」と回答されました。「一部の時間帯のみ厳粛な環境が必要」と回答された方々を合わせると、実に86.8%が、平和記念式典は「静謐な環境」で行われるべきだと考えていることが明らかになりました。
さらに、「式典中の音をどう受け止めたか(式典への影響はあるか)」では、拡声器からの音が聞こえたと回答した人のうち、58.9%が「式典への悪影響がある(例えば厳粛な環境を損なう)」と回答しており、騒音を深刻にとらえていることが浮き彫りになっています。
■
そういう経緯があった上で、この問題がどうなっているのか、昨年12月の広島市議会一般質問で、進捗や市の見解を尋ねたので、以下ご報告します。
Q1.式典中のデモや集会の騒音について、広島市はどう捉えているのか?
(市民局長)本市が毎年8月6日に平和記念公園で挙行してきている平和記念式典が目的とするところは、原爆死没者の霊を慰め、世界恒久平和の実現を祈念することにあります。しかしながら、この式典の最中にデモ行進の実施団体が発する拡声器の音が聞こえてくる状況にあります。
昨年12月と今年8月6日当日に実施したアンケートでは、多くの方が、拡声器からの音がうるさい、式典に悪影響があると回答しており、こうした状況は多くの参列者の心情を害するだけでなく、式典の目的を達成するという、公共の福祉をも損ないかねないと考えています。また、今年の6月議会において、「広島市原爆死没者慰霊式ならびに平和祈念式典が厳粛な環境で挙行されるよう協力を求める決議案」が全会派一致で可決されており、平和記念式典の挙行に適した環境の確保は重要な課題であると受け止めています。
Q2.また来年の平和記念式典を静謐な追悼の場とするため、広島市は現在、どのような取り組みを行っているのでしょうか。その取り組みの今後の方向性と見通しを合わせてお聞かせください。
(市民局長)本市は、今年の式典当日に実施した、参列者を対象としたアンケート結果を受け、デモ行進の実施団体に対し、10月に改めて要請文を手交し、厳粛な環境の中で式典が挙行できるよう、協力を要請するとともに、11月18日を期限として回答を求めました。
これに対し、団体からは期限の日に、「どの程度音量を下げればよいのか分からない」との意見や「手元にある情報だけでは判断できないため、本市が式典会場で回収したアンケート調査票及び音量測定の記録などを開示してほしい」との要望がありました。
これまで要請を続けてきましたが、全く受け入れてもらえなかった状況からすると、今回の回答は、少なくともこれまでの対応からは前進しており、真摯に検討していただいているのではないかと受け止めています。
本市としましては、式典を挙行する上で静謐な環境を確保することが目的であって、その方法として、条例による規制以外の方法で解決できるのであれば、それが最善であると考えており、要請があった情報開示も含めて、今後も団体と協議を続けていきたいと考えています。
議会質問でも申し上げましたが、アンケートでは、長年、騒音に苦慮してきた被爆者やご遺族、参列者らが「静謐な追悼の場」を強く求めていることが証明されました。広島市はしっかり、この結果を受け止めていただきたいと思います。本件については折に触れ、またご報告いたします。
なお質問文全体や「ひろしまトリエンナーレ」など他の質疑について私のホームページで閲覧いただけます。
むくぎ(椋木)太一 広島市議会議員(安佐南区、自由民主党)
1975年、広島市生まれ。早稲田大学卒業後、出版社勤務などを経て2006年、読売新聞西部本社に入社。運動部記者時代はソフトバンクホークスを担当し、社会部では福岡市政などを取材した。2018年8月に退職し、2019年4月の広島市議選(安佐南区)で初当選。公式サイト。ツイッター@mukugi_taichi1