今頃家宅捜査をしても大した資料は出て来ないだろうに、と思っているのだが、とにかく広島地検が家宅捜索に踏み切ったというのは、それなりに公職選挙法違反事件についての捜査が進んでいたということだろう。
しかし、さて現職の国会議員の関与をどこまで立証できるのか、という問題がある。
地検がそれなりに関係者から供述を得ており、金銭の授受関係の客観的証拠はほぼ入手しているということだから、金銭授受に直接関係した人が起訴されることはほぼ確実だが、現職の国会議員本人の関与がどの程度あったのかという点については結構立証が難しそうだ。実行行為者と見られている元公設秘書の供述次第のようなところがある。
最初の報道から2か月以上経過しているから、現時点では現職国会議員の関与を示唆するような客観的証拠はまずない、と言っていいだろう。
検察官も裁判所も、法と証拠に基づいて判断する。
本当の事実がなんであれ、公判廷で実際に合理的疑いを容れない程度まで証明できるかどうかがこれからのカギになる。
件の両議員が、今の段階での離党や議員辞職を表明しないのは、当然と言えば当然のこと。
結局は、検察官がどういう起訴をするかに掛かっている。
何だかぬるいな、というのが家宅捜索の第一報を聞いた時の率直な感想である。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2020年1月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。