RCFは復興や地域活性化のイメージが強いと思いますが、子ども分野の支援も手掛けています。一つは「子ども宅食」です。フローレンスの駒崎弘樹さんに2017年にお声掛け頂き、文京区で生活が困難なご家庭に対して、定期的に食材を提供する事業に取り組んでいます。
日本の子どもの7人に1人が相対的貧困であり、とりわけシングルマザー等のひとり親家庭では2人に1人が相対的貧困(先進国で最悪水準)であり、日本は貧困と無縁ではありません。しかし、スラム街があるわけではなく、地域地域に埋没した「見えない貧困」となっています。
他方、行政は「申請主義」であるため、人の助けが必要な生活状況であっても当事者は声を上げず、また「努力が足りない」といった自己責任的批判を恐れて役所に足を運べず、ただ孤独な状態の中で死を選ぶような方も少なくない現実があります。
こども宅食では、2ヶ月に1回食材を届けることによって、厳しい状況の家庭と繋がり、その結果として様々な支援や制度の情報を届け、親子の状況を和らげることに成功しています。
RCFは、東北復興で様々な大手企業と被災地をつなげてきた実績があったことで、企業からの食品提供で役割を果たしてきました。なお、2年半前に、RCFがなぜこの事業に参画したのか、背景については駒崎さんと私の対談がありますので御覧ください。
広告費に意味がなくなる?新しい時代に企業がファンを掴むための「遠回りな近道」
この事業は、アウトリーチ型の事業として全国各地に展開し始めています。この展開のための組織である、一般社団法人こども宅食応援団が18年10月に誕生し、私も理事を務めています。
こどもの貧困問題は知られるようになってきましたが、実際に厳しい家庭を支えるための現場の仕組みがまだまだ足りません。子ども食堂も全国的に広がりましたが、支援を受けていることを知られたくない家庭にとっては、アウトリーチ型の子ども宅食も有力な選択肢となります。引き続き、日本社会でのこどもの問題に関心を寄せて頂ければと思います。
編集部より:この記事は、一般社団法人RCF 代表理事、藤沢烈氏の公式note 2020年1月20日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は藤沢氏のnoteをご覧ください。