1月25日のTBSニュース(「ワークマンが楽天撤退、「送料無料」など受け」)より。
作業服の販売大手の「ワークマン」が、ネット通販サイトの「楽天市場」から撤退することが分かりました。楽天が出店者に事実上、送料の負担を強いる「送料無料」を打ち出したこともあり、自社サイトの利用を促します。
これで一ついえることは、楽天はワークマンに対して「優越的地位」に立っていなかった、ということである。独占禁止法の優越的地位濫用規制が要件として求めている「優越的地位」は、劣位に立たされる取引の相手方が、「他に代替的な流通経路を(大きなコストをかけずに)見つけることができるか」ということが判断要素になっているが、ワークマンは自社サイトでそれが可能だと判断したということなのだろう。これは競い合いが機能しているという重要な証拠になる。
問題は、他の「動けない」店舗である。多くの店舗はワークマンと違い、自社サイトで十分に戦えるだけの規模もリソースもない。だから楽天に店舗を構えたまま動けないのだ。楽天からすれば「こちらのネットワークを利用しているのだから、こちら側主導で何が悪い」という思いがあるのだろう。優越的地位濫用規制に納得のいかない大手事業者の本音は、いつもそうだ。「苦労を重ねて構築したネットワークやブランドを利用しておいて、いざこちら側が何かを要求すると「暴挙だ」というのは違うのではないか」と。
コンビニの深夜営業問題も似たような性格の問題といえよう。
さて、楽天の「送料無料」問題について前回の記事(「送料無料」をめぐる攻防:楽天vs楽天ユニオン」)に補足しておこう。報道では、「店舗側に送料負担を強いるのはおかしい」という声が強調されていたが、店舗側負担の問題は、送料込みの価格を出すことで、店舗の売上げが表面上大きくなり、その分、楽天側に支払う手数料が大きくなるということなのではないか。このあたりの事実関係はどうなのだろうか。
コンビニのお弁当値引き禁止騒動も、破棄したお弁当は「売上げ」とみなすという条項があったので、フランチャイジー側が不利になるという問題があったのではなかったか。コミッション・ビジネスを見るポイントは「手数料支払いに係る契約内容の洞察」にある。
実質的に業者側が何を負担することになるのか。今後の詰めた報道が期待される。