アメリカも輸出規制 始めました!

中田宏チャンネル。今日は、「AIは幸か不幸か」っていっちゃいます。
日本では仕事始めの1月6日からアメリカ商務省は、人工知能のAIのソフトウェア輸出の規制を始めました。

これはトランプ政権が2018年に制定した輸出管理改革法に基づく規制措置ですが、経済や安全保障上の理由など慎重な扱いが求められる技術について、経済や安全保障上の理由で中国などへの輸出管理を強化する規則

日本なども含めた輸出規制ですが、しかし念頭にあるのは今言ったような中国などのいわば敵対国に技術が流出して、アメリカの優位性が脅かされないようにするためです。

今回は人工知能(AI)ソフトウエアのうち一部の地理空間画像ソフトの輸出に免許申請が発生するようになりましたが、今後はいろんな範囲に拡大していくと私は思います。というのも私元旦スペシャルで「新冷戦」と言いましたけれども、これから長きに渡る米中派遣争いになっていくでしょう。また中国だけでなく、ロシアや北朝鮮、今特に関係が悪化しているイランなどの国々にも先進的な技術が渡らないようにとしていくでしょう。これらの国々は、独裁政治というか専制政治というか、権威主義的な統治がなされていますよね。日本をはじめとした民主主義国とはやはり違うわけです。こうした国とは、経済問題や環境問題、人権問題などなど、とにかくいろんな問題を抱えていますし、これからも問題が増えていくと思われます。

今現在、中国では人民を監視するネットワークシステムがすごい勢いで整備されてもう運用が始まってます。現段階で中国国内には2億台(1億7000万〜2億台)以上の監視カメラがあって、一人一人の顔、移動こういったことを把握できるようになっています。監視カメラで捉えた画像はAIで分析し、犯罪者を捕まえる、あるいは犯罪行為を摘発するということに役立てています。犯罪対策だけではなく、信用などの人の格付けにもいかされています。例えばローンを組んでお金の貸し借りが発生したときに、貸すか貸さないかという判断に使われています。

どんなにカメラが沢山あっても、撮りっぱなしでは意味がないですよね。ですから、映った人物が一体誰なのか何をしている人なのかということを分析をします。そして、その人が「良い人なのか?悪い人なのか?」「プラスなのか?マイナスなのか?」「政府にとっては?」などと分析してこそ初めて生きるわけです。その分析結果を先ほど言ったように、お金の貸し借りや、採用に利用する社会になりつつあります。

一方、日本を含めた民主国家では、行政の効率化や公正迅速な判断に役立てていくことになるでしょう。当然プライバシーや人権に配慮したシステムの構築が求められます。ちなみに先ほどの中国のカメラの仕組みを天網と呼びます。

正直、天の網と書いたこの仕組みを人間が意図して作ることに私は恐怖を感じます。「天網恢恢疎にして漏らさず」という老子の言葉があります。これは人の目はごまかせても、天の目はごまかせないという意味なんですけれども。「天網」。AIとかカメラが人を管理する。

やっぱり、嫌だなぁ。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年1月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。