帰国者の一時検査拒否への強制措置遅れに不信感。森ゆうこ氏も乗っかる

アゴラ編集部

29日に武漢市から帰国した日本人のうち、2人が当日検査を拒否して帰宅していた問題で、指定感染症の政令の施行まで10日かかる理由に対し「そんなこと言ってる場合なのか」とネット上で不満の声があがっている。

参議院インターネット中継より

安倍晋三首相は30日の参院予算委員会で、新型コロナウイルスによる肺炎が拡大している中国・武漢市からチャーター機の第1便で29日に帰国した邦人のうち2人がウイルス検査を拒否し、2便以降は事前に同意を得るよう対応を見直したことを明らかにした(参照:読売新聞時事通信NHK)。

また政令の施行日を早められない理由について、安倍首相と加藤勝信厚労省は、

  • 今回の新型コロナウイルスは2類感染症に該当し、とれる措置に従わない場合には罰則が科せられる
  • このように政府として罰則も含む相当大きな権限を持つ場合には、(対象となる人等への)周知期間を設けるという視点から、公布日から起算して10日を経過して施行するということになっている(今回は2月7日)
  • 過去を振り返っても、平成25年の鳥インフルエンザ、平成28年のMARSの際にも、同様の措置がとられている
  • 内閣は法制局と調整した上で出すという仕組みになっており、それが法制局のルール

と説明した。

だがこうした政府の対応にツイッター上では、

危機管理マインドが欠落した日本の行政

こういう法律不備はなんで今まで議論されんかったんでしょうか❓ケースバイケースで想定すれば事前に抑えれたはず
ここ猛省必要ですよ‼️

といった不満の声や、

こういう有事を想定した緊急事態条項などを整備してこなかったツケであり、政府だけでなく、その状態を黙認してきた有権者の責任

とする厳しい指摘もみられた。

こうした世論の硬化もあってか、30日夜になって、検査を拒否した2人が「検査を受けたい」と申し出たことが判明した(参照:朝日新聞デジタル)。

なお、今回の予算委員会で、参議院法制局に確認した過去の判例をもって「こうした危機的状況においては政治決断で公布と施行を一緒にできるのでは」と安倍首相と加藤厚労省に質問したのが、あの森ゆうこ議員だった。まさにこうした世の中の不満や不信に“乗っかった”格好だ。

国民民主党の公式ツイッターより

その際に「新型コロナウイルス 」を「インフルエンザ」と言い間違えたミスを嘲笑する人も少なくなかったが、

言い間違いは許されることではないが、内容は珍しく筋が通っていてマトモだったんだけどな。

森ゆうこは好かんがこの件ではちゃんとした提案をしてるようですな。

と評価する声も聞かれた。しかし、アゴラ読者にはあらためて言うまでもなく、森氏は昨年10月の巨大台風上陸前夜に「質問通告遅延」騒動を起こし、身の危険を感じた霞が関の職員たちにネットで非難された経緯もあり、はたして安倍政権に危機管理問題を提起する資格があるのか、またも「ブーメラン」になりかねない質問だった。