新型コロナウイルスは中国に対する「アメリカの陰謀」?

新型コロナウイルスの被害が急拡大していることで、感染を恐れている人が増えているようです。

コンビニやドラッグストアでは、マスクが完売。近くのセブンイレブンにもまったく商品はありませんでした。かつての震災の時の水や食料の買い占めを思い出しました。

新型コロナウイルスを春節を狙った中国に対するアメリカの陰謀だと思っている人もいるようですが、さすがに頭を冷やした方が良いでしょう。パニックになって、このようなつまらないデマやフェイクニュースに影響されず、冷静に情報を分析する様にしたいものです。

これから感染がどこまで広がるか誰にも予想はできませんが、2つのことを押さえておこうと思います。

1つ目は新型コロナウイルスの生命へのリスクです。

私は感染症の専門家ではありませんが、生命の危険という側面からは、新型コロナウイルスを必要以上に恐れる必要は無さそうです。

厚生労働省のウェブなどを読むと、新型コロナウイルスよりも季節性インフルエンザの方が、感染者する可能性は高く、死亡者数も多いと思われるからです。季節性インフルエンザの感染者数は、国内で推定約1000万人もいます。超過死亡概念という推計による季節性インフルエンザによる年間死亡者数は、世界で約25~50万人、日本で約1万人とされています。新型コロナウイルスを恐れるなら、毎年流行するインフルエンザにもっと神経質になるべきです。

もう1つは、世界経済に与える影響は、予想よりも大きくなる可能性があるということです。

中国人観光客が減って、観光ビジネスへの影響が懸念されています。しかし、それ以上に世界の生産工場である中国の生産と物流が滞る懸念の方が大きい思います。そうなれば、世界的なモノ不足になるリスクが出てきます。

中国に生産拠点を持っている企業は、他国へのシフトを進めると思いますが、スムースにいくとは限りません。

マスクだけではなく、中国製が大きなシェアを占める携帯端末や中国製の雑貨などが品薄になり、店頭から消えるかもしれません。

想定以上の実体経済への影響は、株式市場や為替市場にもマイナスです。

新型コロナウイルスのリスクは、生命への影響よりも経済への影響を想定しておくべき。これが現時点での私なりの頭の整理です。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年2月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。