(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
新型コロナウイルスの感染は世界に広がり、日本でも次々に感染者が見つかっている。ウイルス拡散の防止のために日本からの入国者を拒むという国も出始めた。なぜ日本でこれほどまでに感染者が増えているのか。
最大の理由は「中国からの日本入国」に対する規制が甘かったことであろう。ロシアや米国の対応とはまるで異なる“寛容”な対応がウイルスの国内流行を広めた。
時すでに遅しだった武漢の封鎖
日本国内で確認された新型コロナウイルスの感染者は2月18日時点で約70人、クルーズ船に乗船している感染者を加えると600人以上に達する。ロシアの2人、米国の15人よりもきわめて多く、クルーズ船の乗船者を除いても中国、シンガポールに次いで3番目に感染者が多い国となっている。
中国では2月18日現在で感染者が7万2000人を超え、死者は1800人以上に達している。中国共産党政権が当初、感染症の存在をひた隠しにしたことが爆発的な拡散の直接の原因となってきたことはすでに当コラムで報告したとおりだ。
習近平政権もさすがに大災害の隠蔽を続けられないことを認識し、発生源の武漢市を全面封鎖した。だが、その直前に500万人もの市民が中国各地、世界各地へと散ってしまっており、対応は完全に時すでに遅しだった。