新型肺炎で世界に知れわたる安倍政権の中国への忖度 --- 古森 義久

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

「日本の安倍晋三首相は新型コロナウイルスとの正面対決よりも、習近平主席の訪日を前にして中国の気分を害さないことに神経を使った」

米国の有力紙ワシントン・ポストが2月20日付の記事でこんな見解を報道した。

同記事はこう指摘する。中国で新型ウイルスの感染が拡大したことが明白になった後も、日本政府は中国からの旅行者などの入国を許した。それによって、日本国内での感染が広がった。その大きな“原因”は、安倍首相の習近平主席の国賓来日への「忖度」である──。

「日本政府の対応は遅く間違っていた」

「クルーズ船の新型コロナウイルス感染に関する日本の対応は『完全に不適切』だと衛生専門家が言明」という見出しのワシントン・ポストの記事は、日本政府のクルーズ船への対策を批判しながら、日本への感染の危険が明白となってからも中国からの来訪者多数の入国を認めていたのは、習近平政権への過剰な配慮による失敗だと指摘していた。これは、米国の他のメディアや専門家たちの間で一般的な見方だという。

ワシントン・ポストのこの記事はサイモン・デニヤー東京支局長によって書かれた。デニヤー支局長は同紙の中国やインドの支局長を務めたこともあるベテランの国際報道記者である。

デニヤー氏は、安倍首相や日本政府の新型コロナウイルス問題への対応やその意味について、まず以下のように伝えていた。

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