今年9月開幕予定の「ひろしまトリエンナーレ2020 in BINGO」(以下、ひろトリ)が新局面を迎えました。
「ひろしまトリエンナーレを考える会」のメンバー約30人が2月27日、広島市中区の広島県庁を訪れ、ひろトリへの公金支出等を適切に行うよう再検討を求める要望書を、ひろトリ実行委員長を務める湯崎英彦・広島県知事宛てに提出しました。
要望書では、ひろトリに関し、
- 文化庁は「あいちトリエンナーレ」への補助金を全額不交付した。同様のイベントであるひろトリについて、広島県が補助金を支出するのはどうなのか
- 広島県尾道市・百島でのプレイベントで昭和天皇を侮辱するようにみえる等の「作品」を展示しているイベントに公金支出することは、納税者の合意を得られるのか
――と指摘し、それぞれ再検討を要望しています。
この日は、県幹部が湯崎知事に代わって書面を受け取り「知事にお渡しします」と述べました。これまで、広島県の対応はここまで踏み込んだものではありませんでした。私は要望書の受け渡しの様子を間近で見て、大きな前進だと実感しています。これもひとえに、日本への熱い思いを様々な形で表現していただいた皆様のお力だと思います。
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要望書提出に先立つ2月25日、ひろトリの予算を審査する広島県議会でこの件に関する分岐点となる出来事がありました。
県議会の代表質問で、県幹部がプレイベントで展示内容の検討が不十分であったことを認め、適切な運営ができるよう新たな組織・仕組みを作ることを明言したのです。
この代表質問では、自民党系の会派「自民議連」の県議が「ひろしまトリエンナーレの実施態勢」をテーマに登壇。「本年度のプレイベントでは一部の展示内容に多くの批判が寄せられた。2020年度の実施態勢は」と、ひろトリ実行委員会のメンバー構成、組織等をただしました。
これに対し、県商工労働局長が「客観的な視点で展示内容の検討がされていなかった。観光、地域経済、芸術の各分野の有識者でつくる委員会を新設し、展示内容を諮る仕組みを導入する」と答弁したのです。
前述のとおり、昨年10~12月に広島県尾道市・百島で開かれたプレイベントの一部の展示物に批判が寄せられました。これは、実行委員会の一部のメンバーが展示内容を決められる組織形態だったことから生じたものでした。来年度は、実行委員会から独立した「新組織」がイベントの趣旨にのっとった展示物を検討できるようなるとみられます。
風は吹いていると思いますが、決して楽観視はできません。公金を使って<反日プロパガンダ>を目論む勢力が、「表現の自由」を引き合いにあらゆる手を使ってくることが予想されます。言いたいことや見せたいモノがあるのであれば、自費で存分にやってもらって構いません。それこそ「表現の自由」でしょう。
ひろしまトリエンナーレの問題では、私は一貫して「公金支出の是非」を問うてきました。一部の政治的な主義・主張をアピールするために公金を使うことは、公平性・公共性の観点から適切ではないということなのです。イベントの開催趣旨に見合った適切な公金支出になるには、新たな組織が実効性のあるのものにする必要があります。
構成メンバーがどうなるのか、決定権がどこにあるのか、といった諸課題に目を光らせることが次のステップとなります。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
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ところで、「あいちトリエンナーレ」の芸術監督で、「ひろトリ」のプレイベントも訪れていた津田大介さんがツイッターで私をブロックしていることが判明しました。
これまでツイッターやブログで名指しでご批判申し上げたことはないはずですが、唐突な対応に困惑しております。
津田さんたちリベラルの論客の皆さまは対話や多様性が重要だと常々説かれておりますが、少なくともツイッター上で対話の可能性がなくなったことは残念でなりません。