昨日朝の拙稿「小1の母思う。全国の小中高、臨時休校要請は想像力の欠如 」では、一斉休校で共働き世帯やひとり親世帯の打撃となること、小学校低学年の子供の身の安全を考えてもらいたいといった問題を提起しました。
その後、臨時休校は、首相への「後手」批判をかわすためのパフォーマンスではないかという批判が殺到しているようです。例えば、感染者が出た周囲の学校から休校にするなど、なぜ段階的に進めずに「一斉」と言う派手な形をとったのか。そこがパフォーマンスと感じさせる所以です。
異例の要請、安倍首相が主導 背景に「後手」批判―臨時休校(時事通信)
臨時休校の要請の件に関しては、今からでも撤回していただきたいと思います。
しかし、昨日はTwitterを見ていたところ、午後2時くらいから一気に各自治体の対応が出そろってきたようです。
私の住む自治体では、下記のような首相の要請通りの内容となりました。
- 保育園、認定こども園→通常通り
- 小学校→休校
- 学童→通常通りあけておくけど、基本、自宅待機。学童なのでもちろん給食はありません。
- 小学校高学年→休校
自宅待機と念を押されて学童を開いてもらったところで、どんな顔をして預けに行ったらよいのでしょうか。月曜日のことを考えると、今から気持ちが重いです。
私の自治体の首長は、共働き世帯やひとり親世帯に特段の配慮がない人物ということがわかりました。
今回の臨時休校騒動ですが、首相から「要請」という形で丸投げされたために、自治体ごとに最終判断を下さなくてはならず、それゆえに、首長の力量が露わになったように思えます。
今回の一件でもっとも早く、きめ細やかな対応をされていたのが、千葉市の熊谷俊人市長でした。
熊谷市長は、第1報からほぼ待たずして、「低学年と特別支援学級を中心に、保護者が対応できないケースについて学校で、感染防止に十分配慮した上で預かる方向で検討します」と、断言されました。このスピード感。住民の生活を守るという使命感が感じられます。
衝撃の報道。全国一斉春休みまで休校…いくらなんでも…。
医療関係者など社会を支えている職種の親はどうするのか。社会が崩壊しかねません。私達のこの間の悩んだ末の検討が全て吹っ飛びました。
なんとか社会を維持する方策を週末に考えます。— 熊谷俊人(千葉県知事) (@kumagai_chiba) February 27, 2020
政府からの情報もTwitterを通じて可能な限り共有し、住人の不安払拭に務めておられます。
そして、つくば市の五十嵐立青市長は「希望者は学校で自習、給食も提供」給食を出すという決断をしてくれました。これで、つくば市の働くお母さん方も安心ですね。
【新型コロナウイルスへの学校の対応について】
昨夜発表された学校の全国一斉の休校要請について、緊急で協議をしつくば市の方針を決めました。休校は3/6から、登校は可能、給食は希望者としました。感染防止策を講じながら、休めない保護者や医療環境悪化を考慮しできるかぎりの対応をしていきます。 pic.twitter.com/AlDHgaUcSn— 五十嵐 立青(つくば市長) (@igarashitatsuo) February 28, 2020
そして、首相要請を意に介さず、流されない判断をした金沢市の山野之義市長。媚びない感じに信頼をおけます。
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今回の首相からの「無茶ぶり」要請は、自治体にとってまさに災害対応と同等だったのではないでしょうか。
住民の生活を真剣に考え、責任感溢れる首長をもった住民は幸せですし、また、逆に、他の所の動きを見ながら無難に対応しようと判断を伸ばす首長ではいざ災害時に命を落とす住民もいることでしょう。
首相の要請を唯々諾々と受け入れた首長はそれなりな人だということだと思います。
念のためですが、今回列挙させていただいた首長の出身政党は、熊谷氏が旧民主党(市議時代)、五十嵐氏が無所属、山野氏が自民党(市議時代)と分かれているように、党派は関係ありません。あくまでもそれぞれが培ってこられたリーダーシップ、危機管理能力です。
そして、今回の対応は改めて、首長権限の大きさを感じるものでした。
いざという時に、だれがトップかで全然対応が異なるということを広く知ってもらい、選挙の時は、出来る限り多くの方に投票所に足を運んでもらい、首長の質を問うと同時に、しっかり見定めて一票を投じていただきたいと思いました。
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栄木 真由美(えいき まゆみ)
元政令市の市会議員。現在は、自身の選挙活動や政治活動の経験を活かし、選挙プランニング会社「Plan-M」代表。ツイッター「@MayumiEiki」