一斉休校から一週間。子供は日本の未来ではなかったのか --- 栄木 真由美

一斉休校を取りやめる学校が続々と増えてきたようです。

都市部の小中高は子供が過密かもしれませんが、少し地方に行きますと過密とはほど遠いこともあり、なぜ、『一斉』という形はとったのか今も疑問が残ります。

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子どもに学童の様子を聞くと、「手を伸ばした長さより近くで遊んではダメって。遊べなくてつまらない」と聞いて、確かに濃厚接触を避けるための対策として、学童では1メートル以内で一緒に遊ばせないようにするという政府の方針がアナウンスされたことを思い出しました。学童の指導員の方々は感染を防ぐために頑張ってくれているのだなと思いました。

学校と違って学童の限られたスペースで子供が触れ合わないようにして遊ぶのは現実的ではありません。限られた1つか2つの部屋でお弁当を食べて、おやつを食べて、勉強をして、本を読むのです。

過密状態で長時間生活を共にするのは、疫学的に問題があるのでは?というのは、休校要請直後に、千葉市の熊谷俊人市長がいち早く問題視されておりました。

熊谷氏ツイッターより

触れ合わないように遊ぶのは子供にとって無理な話です。朝から夕方までこの調子では子供たちにとって学童で過ごす時間が苦痛になってしまいます。この厳戒態勢下での学童運用も無理があると思わざるを得ません。

そもそも「学童」とは?

「学童」は、男性や子育てを終えた人には聞きなれない言葉かと思います。
一口で言うと、「小学生低学年のための放課後の生活の場」です。土曜や夏休みなど長期休みなどは朝から夕方まで開いています。祝日は休みです。

今回の一斉休校に伴って、学童が普段の放課後シフトから長期休みシフトに変更となったわけです。

案の定、テレビでの報道を見ていると家にひとりでお留守番している子供のために子供の達の安全の確認とお昼ご飯を持っていくボランティアの方がいるなど、また、子供が学童に行きたがらないので家で留守番させているワーキングマザーの声などを見ました。

基本的に一斉休校の陰で多くの低学年児童がひとりでお留守番となっている現実があるようです。

アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスなどでは、10歳~12歳以下の子供をひとりで留守番させると違法、罰則規定ありという州などがあります。私が住んでいたカリフォルニア州では、小さい子供のお留守番が近隣住民などに通報されると警察がきて逮捕されることもあります。それは周囲から口酸っぱく言われました。それゆえ、小学校低学年は一人でお留守番ができず、学生によるベビーシッターのアルバイトが盛んです。

確かに私たち親世代では、「鍵っ子」という言葉があったくらい、共働き世帯やひとり親世帯では、ひとりお留守番をさせることは珍しいことではなかったかもしれません。しかし、時代が変わり、ご近所との関係も希薄になり、私の子供の頃と比べると子供を見守る目は少なくなったように思います。

また、子供に対する日本のスタンダードと、他の先進国におけるスタンダードは大分違うように思います。

少なくとも、今回の一斉休校要請は、小4以上(10歳)以上の共働き家庭やひとり親家庭の子供はひとり留守番前提でした。子育ての現状を把握していないんだなと思うと同時に、子どもの人権に対する意識の低さを垣間見た気がしました。

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小中高生の3学期のカリキュラムは終わらず、学習の機会は失われました。それをフォローするための宿題や補講などは特に聞こえてきません。

進学校などでは、インフルエンザなどで1週間休んだら学校の勉強に付いていけず不登校になり、ドロップする生徒もいます。学習の機会として、3学期の締めの2週間は子供たちにとって大きなインパクトです。

学校の先生方も突然の休校と、また、残りのカリキュラムの消化をどうするかなど頭を悩まされているのではないでしょうか。

パパ教員の戯れ言日記

少子化問題は国家存亡の危機と言われてきたはずです。
子供を産み育てやすい国をづくり、どの子も等しく教育を受けられる国づくりをしていただきただけることを切に願います。

栄木 真由美(えいき まゆみ)
元政令市の市会議員。現在は、自身の選挙活動や政治活動の経験を活かし、選挙プランニング会社「Plan-M」代表。ツイッター「@MayumiEiki