新型コロナウイルス感染拡大で、米国人が買いに走った3Bとは

安田 佐和子

新型コロナウイルスが猛威を振るう状況下、残念ながら日本ではマスクを始めトイレットペーパー、ティッシュペーパー、消毒スプレー、果てには米など生活必需品から食料品まで幅広く買い占めが横行しています。米国も例外ではなく、感染者を抱えるコロラド州ではマスクが売り切れコストコでは人々が大挙し買いだめに走った結果、トイレットペーパーやキッチンペーパー、ボトルウォーター、消毒ジェルなどが棚から消えてしまったといいます。

(カバー写真:Gianni/Flickr)

カリフォルニア州にあるコストコの前で列を成す米国人。

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(出所:sg/Twitter)

それだけではありません。プレッパーと呼ばれる”世界の終わり”に備える米国人を中心に、3Bの商品を爆買いしているというのですよ。

3Bとは、Bullets(弾丸)、Beans(豆)、Bandaid(バンドエイド)を指します。3Bの提唱者はプレッパーで生き残りの術についての本も出版するその道の専門家、ジェームズ・レスリー・ロールズ氏でジョーク交じりに購入を勧めていたわけですが、なぜこの3つを買い占め動きが出ているのでしょうか?

まず弾丸ですが、実際にネット通販アモが3月6日、声明で弾丸の売上急増を報告しました。グーグルで新型コロナウイルス検索回数が増えるに合わせ、売上高も右肩上がりに増加したといいます。2月23日以降の11日間での州別動向をみると、ノースカロライナ州がトップで売上は179%増、次いでジョージア州で169%増を遂げました。以下、ペンシルベニア州(140%増)テキサス州(128%増)フロリダ州(76%増)イリノイ州(67%増)、NY州(48%増)、オハイオ州(40%増)と続きます。3月8日時点で、オハイオ州以外は全て新型コロナウイルス患者を抱える州が並びました。

新型コロナウイルス感染拡大を受け身の回りを守る上で弾丸が必要との認識が高まるなんて、米国人ならではの発想ですよね。アモのマーケティング・マネージャーですら「政治の流れや不安定な経済状況で、銃保持の権利を侵害される懸念から買いだめに走るケースをみてきたが、ウイルス蔓延での売上急増は初めて」と驚きを隠せない様子でした。

次いで、豆。豆と言っても乾燥豆で、市場調査会社ニールセンによれば、乾燥豆の売上高は2月22日までの1週間で前年比10.1%増だったのです。これは、トイレットペーパーやティッシュペーパー(9.5%増)、水(6.2%増)を上回る伸びでした。乾燥豆の賞味期限は開封さえしなければ約2年と長期保存できる上、スープのお供やごはんの代わりになり、且つビヨンドミートなど代替肉で注目された通りたんぱく質も豊富と栄養価の高さも評価されたようです。

乾燥豆と同率でなぜかエナジー・ドリンクが上位に食い込んだほか、ペット用医薬品も大幅増に。

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(作成:My Big Apple NY)

バンドエイドが売れた理由は、USAトゥデービジネス・インサイダーなど複数の人気メディアが救急箱の必要性を報じたからでしょう。

3B以外でも、足元急速に人気を高めている商品がございます。それは、オート麦から抽出されたオートミルク。そもそも100%植物性なのでベジタリアンから愛されたほか、新型コロナウイルス感染拡大前から環境負荷が他の植物性ミルクより低いため、意識高い系の方々などの間で人気を博し、豆乳やアーモンドミルクに代わるヒット商品に躍り出ていました。

特徴としては①水溶性食物繊維が豊富(余分なコレステロールの排出を支援)、②ラクトース(乳糖)フリー、③少ない飽和脂肪酸、④葉酸が豊富(赤血球の生成を助ける)、④ビタミンEたっぷり(抗酸化作用、アンチエイジングに有効)――と栄養価が高い上、アーモンドミルクなどよりクリーミーという優れモノなのですよ。さらに開封後は10~12日もち普通の牛乳の4~7日より長い利点もあって、2月最終週の売上の伸びは前年比323%増と消毒剤の313%増を上回っていたのです。

今回は米国人が買いに走った商品を紹介しましたが、煽るつもりでご紹介したわけではありません。どうぞ皆様、買いだめに走りませんよう、お願い申し上げます。弾丸を買いだめする方はいらっしゃらないでしょうけど・・。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年3月9日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。