新型コロナウィルス流行による日本中の混乱で、皆さん不安でいっぱいの毎日をお過ごしのことでしょう。
でも、今日この日は、東北の人たちへ心を寄せたいと思います。
2011年3月11日に起きた東日本大震災から、今日で9年が経ちます。
以前の生活に戻り始めた方、まだまだ元のような暮らしには戻れない方など、状況は多様に渡っています。
子ども達も元気に過ごしているように見えても、言葉にできない思いを抱えていることもあります。
こうした東北の子どもたちを支えようと、2011年に、フローレンスは同じく子ども支援分野で活動をする3団体とともに、「ハタチ基金」という団体を立ち上げました。
「震災があった2011年に0歳だった赤ちゃんが、無事ハタチになるまでの20年間、支援を続ける」
このコンセプトの下、育児支援や学習支援など、子どもに関わる支援を行っています。
皆さんからハタチ基金にいただいたご寄付を元に、フローレンスは、2015年4月から小規模認可保育「おうち保育園」を、仙台で運営しています。震災後、待機児童が非常に多かったからです。
さらに、この1年は、仙台のおうち保育園を中心に、より親子の心に寄り添うための支援を強化してきました。
保育園という場所で始まった “子ども食堂の新しいカタチ”
2019年8月、仙台市青葉区内にある「おうち保育園かしわぎ」で始めたのが、「ほいくえん子ども食堂」です。
子ども食堂とは、住民や自治体が主体となり、無料または低価格帯で子どもたちに食事を提供している場所です。地域の親子の見守り支援の一つとして注目されています。
そういった場を、保育園に通う小さな子ども達と家族を中心に、もっと気軽に利用できる場所に。そんな思いで始めたのが、「ほいくえん子ども食堂」です。
保育園との連携により親子に自然なかたちで伴走できるサポートシステムとして、また親子と地域住民をつなぐ多様な交流機会の場作りとして、機能していくことを目指しています。
これまで12回開催、185人が来てくれました。
当日出会った子ども達同士でお絵かきや風船遊びをしたり、みんなで紙芝居に熱中したり。保育園には、子どもが安全に遊べるスペースがあり、子育ての専門家である保育士がいるため、「リラックスできた」と言ってくださる親御さんも。ご近所同士が日頃の子育てについての雑談を交わすなど、保育園を中心とした新しいコミュニティの場が生まれたことがとてもよかったと思います。
今後も、この「ほいくえん子ども食堂」は定期的に開催していきます。
仙台から全国へ 「保育ソーシャルワーク」情報交換会 開催
経済的困窮やトラブル、子どもの発達への不安など。被災地だけでなく、社会全体の、家庭内で起きる不安や悩みは多様になってきています。親御さんがたった独りで抱え込むことは様々なリスクにつながります。
こうした親子に自然な形で伴走できるのは、保育現場ではないでしょうか?
2017年よりフローレンスが取り組んでいるのが、「保育ソーシャルワーク」です。東京と仙台のフローレンスの保育園で実施してきました。
ソーシャルワークとは、困りごとを抱えている人が過ごしやすくなるように、課題について一緒に考えサポートすること。お話を聞いて、支援施設や行政サービスなど、必要な機関等との関係を調整することもあります。
乳幼児と保護者が家庭外で早期に接点を持つ「保育園」。
ここが窓口になることは、非常に有効です。課題を抱えて誰にも相談できずにいる子育て家庭にいち早くアプローチできるからです。
フローレンスの場合は「保育ソーシャルワーカー」という専門職を独自に設置し、各園を巡回するスタイルをとっています。
2019年12月には、この活動を全国に広めていくために、仙台市青葉区をメインとする各小規模認可保育園で働く先生方を対象に、「第一回仙台保育ソーシャルワーク情報交換会」を行いました。講師は、フローレンスの保育ソーシャルワーカーが務めました。
当日は仙台市内の保育園の先生方が集まり、これからの保育現場で求められる保護者支援について、真剣に話し合いました。
こういった仙台での新しい取り組みを支えるのは、「ハタチ基金」からの助成基金です。
今後も継続的に子ども達を支えていくためには、皆さんのご寄付が必要です。
一緒に東北の子ども達支えていきませんか?
編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2020年3月11日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。