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東京ビックサイトでのエネルギー関連合同EXPO、テスラは二次電池EXPOのブースに出展していました。これは、テスラが販売予定の蓄電池POWERWALLを展示しているからです。とにかく、蓄電池が「かっこいい」のです。玄関先に設置されていてもよい感じ。つまり、見せる蓄電池。尚且つ、日本製に比較すると性能が良く、値段も安い、これで売れないはずはないという印象です。
日本メーカーの蓄電池は、性能、価格、スタイリング、いずれをとっても見劣りするのが現実です。何故なんだろうか…、性能が良ければデザインは関係ないのだろうか、両方とも追及していくことを求めていないのだろうか、理由を知りたいくらいです。
その場にはEVモデル3も置かれていて、初めて車内を見たのです。衆議院議員時代に、サイバーセキュリティー関連で、テスラに乗車させてもらったことがありますが、あれから4年、ずいぶんと進化していました。
大きなタブレットしかフロントには無く、とにかく、スッキリ。そして広い。屋根もガラスなので、付随部品がない分、空間の高さも確保されています。自動車ではなく、正にモビリティ。車はこう変化するのだという実感を持てました。
このEVと蓄電池が繋がり、お互いが相乗効果を起こす仕組みを考えているのです。蓄電池がカッコ悪く、自宅の裏に置きたくなるようなものなら、駐車場が表にあるEVとの連動が弱くなる、またコストがかかるとう事態になってしまいます。蓄電池とEVが表にあることの優位性を発揮するモデル、そしてオーナーが自慢したくなるモデルを考えていると思うのです。
Fommは、タイで型式を取り、販売されている小型EVです。随分前に川崎市にある本社を訪ね、実証モデルを運転させてもらったことがあります。その時の印象は、小さなEVだけれども、運転席の足元がすっきりした4人乗り、これは売れるだろうな…。
僕は当時、FommにEV、FCVを両方とも搭載できる仕様に出来ないかと言いに行ったのです。つまり、消費者が購入する際に、モデルは同じでも、EVかFCVかを選んでもらう。途中で、変更することも出来る。蓄電池の劣化による蓄電池交換ができるように、燃料電池を積むことも出来ると…。
最初の販売が日本ではなく、タイとなったのは、日本の自動車型式にFommのようなモビリティのカテゴリーが無く、車としての型式がとれなかったからです。2人乗りなら可能なようですが、4人乗れるのに、わざわざ2人乗りに機能を下げて製造・販売することなど無意味です。僕が最初にFomm訪ねた時から、日本ではこの課題がありましたが、果たして解決できたのであろうか…。日本で販売されるのはいつのことやら…。
このEXPOで、タイで販売している完成型を初めて見ましたが、魅力的に映りました。洪水時には水に浮きホイールinモーターで、フィンが付いたタイヤを回転させることにより洪水の被害から逃れることが出来るのです。水陸両用車と呼んでおらず、あえて災害時の緊急事態には使える、に留めているそうです。水陸両用車として、船代わりに使用されても困るのです。
このブースにはヘッドスプリング社の人もいて、蓄電池兼直流・交流変換機を兼ね備えた製品を展示していました。EVにしても、FCVにしても車体から電気を取り出すことは出来るけれども、直流を交流にする変換機を介在させないと家庭用の電気器具を使うことが出来ません。それなら、最初から車に変換機を搭載してしまえば、付属品としての給電器を用意する必要がなくなります。
なぜ、今のEV、FCVは別枠にしてあるのが、ヘッドスプリングの技術者に聞けば、「難しいことではないのに・・・」、改めて考えさせられました。Fommが日本で販売される時は、蓄電池兼変換機能付き給電器として使用出来るようになれば、更に魅力的なモビリティとなるはずです。
コロナウイルスでエネルギーEXPOは閑散としていましたが、エネルギーの大変革が世界で起きていることは間違いありません。日本はそこで新な価値を提示し、そして社会実装が出来るのであろうか?技術力で打ち出したは良いが、ビジネスモデル、社会モデルを作ることが出来ず後塵を拝する、エネルギー分野でもこれまでと同じことを繰り返すつもりなのか?
旧態依然のモデルで、この変革を乗り切るつもりは流石にないと思いますが、スピードが遅いので、やってはいるもの・・・ということなりかねないのです。再エネ中心、地産地消中心、オフグリット中心、スピード違反と咎められるくらいに前に飛び出したいものです。
編集部より:この記事は多摩大学ルール形成戦略研究所客員教授、福田峰之氏(元内閣府副大臣、前衆議院議員)のブログ 2020年3月12日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。