NY州など6州で外出禁止令を発動、クロロキンは救世主となるか

(カバー写真:duncan c/Flickr)

カリフォルニア州のニューサム知事は19日、外出禁止令を発動しました。サンフランシスコ市など6郡で実施済みの措置を、州内全域に拡大したかたちです。

外出禁止令発動でも、以下の業種は営業可能となります。

・ガソリンスタンド
・薬局
・食料品店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、テイクアウトやデリバリーのみ営業するレストラン
・銀行
・コインランドリー
・警察など法的執行機関など

NY州イリノイ州は、20日に必要不可欠な業種以外での在宅勤務措置を発令、事実上の外出禁止を命じました。トライステートとしてNY州と足並みをそろえていたコネチカット州ニュージャージー州、さらにネバダ州も同様の措置を講じています。

以下は、各州の2019年時点の人口です。

・カリフォルニア州 約4,000万人
・NY州 約1,950万人
・ニュージャージー州 約888万人
・コネチカット州 約357万人
・イリノイ州 約1,267万人
・ネバダ州 308人

6州合わせて人口は約8,770万人、全米のざっと約26.5%に相当します。ちなみに、カリフォルニア州のGDPは世界で英国やインドを抜き5位、NY州は11位で韓国を超える規模なんですよね。米国にとっては大打撃は確実で、かつ大都市を含む州で続々とこうした措置が講じられる公算が大きく、一時的な落ち込みは激しさを増すに違いありません。

セント・パトリックス・デーの17日、例年は人だかりができますが、マンハッタンはもぬけの殻に。(出所:Pamela Drew/Flickr)

気になるのは、やはり米国経済の落ち込み具合ですよね。こちらでお伝えしたように、JPモルガンは2020年のマイナス成長を予測しています。ゴールドマン・サックスは、さらに悲観的な見通しを発表しました。4~6月期の実質GDP成長率につき前期比年率24%減と予測、7~9月期に同12%増10~12月期に同10%増を見込むものの、2020年は3.4%減を掲げます。失業率は約50年ぶりの低水準である3.5%から、9%へ跳ね上がるとか。ただし、9%の失業率は金融危機時の最悪期、10%を下回ります。

果たして暗黒のシナリオが米国に迫るのか。このカギは、いかに感染者数を抑制できるかに掛かっています。米国ではトランプ大統領が会見で何百万件の購入に言及した通り、マラリア対策に用いられたクロロキンを利用する可能性が高い。

画像:トランプ大統領、クロロキンにヒドロキシル基を付加したヒドロキシクロロキンと、アジスロマイシンに光を見出す。ただし治療に有効な物質はヒドロキクロロキンだけではなく、亜鉛やビタミンCとのシナジー効果とするあり。

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1241367239900778501

既に英国では2月26日にクロロキンの輸出禁止に踏み切っていますから、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長が専門家らしい慎重姿勢を見せながらも、米国でも活用される公算が大きいといっても過言ではありません。余談ながら、米国でクロロキンを製造する企業が、2019年12月から2020年1月に価格を約2倍に引き上げ、その後価格を戻したという事情も、あらゆる想像を掻き立てます。

日本では、富士フィルムのアビガンが期待されていますが、早々に解決策が登場することを切に望みます。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年3月21日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。