「ONE LOVE , ONE FUTURE」ハノイ工科大学

「ONE LOVE , ONE FUTURE」ハノイ工科大学情報工学系の校舎の前に行くとこのモニュメントがあります。

ハノイ工科大学は、優秀なIT人材を輩出しているベトナムNO1の大学です。4万人の生徒に教師1000人、5年間の教育機関を経て卒業していきます。情報工学系は3000人の生徒がいるそうですが、大学で最も優秀な生徒が集まるそうです。

日本の大学では長岡技術科学大学との繋がりが深かったそうですが、現在では慶應義塾大学、立命館大学との繋がりが深くなっているそうです。その一例が、慶應義塾大学と立命館大学に留学したハノイ工科大学同級生5名が設立したRIKKEIソフト社かもしれません。

過去にはODAで、IT科目を日本語や英語で学ぶプログラムもあったそうです。今でも、日本語授業を受けて、エンジニアでありながら日本語の読み書きができるIT人材が育っていて、日本語N1ランクであれば、通常の卒業生の3倍の給与が約束されるそうです。

ハノイ工科大学では、ダオ・タン・チュウ博士からのヒアリングを行いました。卒業生の進路は78%が企業に就職、その内54%がR&D部門、14%がエンジニアリング部門だそうです。そして卒業時、起業する人は8%、この数字を20%に引き上げたいそうです。

ハノイ工科大学構内には、専門の起業支援拠点は存在していないそうです。昨年訪問した、カンボジアの王立プノンペン大学には校内にスタートアップ支援センターをつくる準備をしていました。今後アジア各地の大学にも起業を支援する仕組みが構築されると思います。ハノイ工科大学でも、必要性は感じてはいるが受け入れるルールが今のところないそうです。

企業等から支援を受けながら起業支援拠点を整備する方法もありますが、国立大学故に、大学が独自のルールをつくることが出来ないそうです。ここでは、政府の方針も重要な要素となっています。

ベトナムでは、ITベンチャーと言っても今のところオフショア開発がメインとなっていて、国内の社会課題解決のためのサービスをオリジナルで提供している企業は少ないのです。優秀な人材が、大企業のR&Dに進むこと、行政に進むこと、そして起業をすること、人材が偏らずに活躍する場が広くあること、こうしたプラットフォームがあることが国の発展に重要です。

個人としては、手っ取り早く豊かになるために企業に就職することがメインとなります。日本でも高度経済成長期、バブル期と大卒学生は大企業に就職し、終身雇用、年功序列、OJTで、日本の発展、企業の成長と共に給料が上がりました。過去は豊かでしたが、その結果、イノベーションや社会変革が遅れ、後の30年にわたる成長しない経済にたどり着いてしまったのです。

そして、今はイノベーション、社会変革、価値創造、スタートアップと連呼され始めています。日本と同じ道を歩まないように、人材が偏らないということを今から意識して、常に新たな価値を生み出すスタートアップを支援していくことが大切だと思います。

「ONE LOVE , ONE FUTURE」日本語的に言えば‘思いが未来をつくる‘とでも言うのでしょうか。未来に対する思いがイノベーションを起こし、社会課題の解決につながり、国が、国民が豊かで幸せになる。ハノイ工科大学の卒業生が、この思いを持ち続ける限り、ベトナムは発展すると思います。


編集部より:この記事は多摩大学ルール形成戦略研究所客員教授、福田峰之氏(元内閣府副大臣、前衆議院議員)のブログ 2020年3月23日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。