東京でも封鎖(ロックダウン)が近いという噂が流れ、カップ麺を中心にスーパーの棚から食料品が消えている有様です。仮に現実になれば、飲食業を始め中小企業、零細企業に影響が及ぶこと必至。固定費等の補償なしでは、空前の倒産と失業者の急増を生み出しかねません。
実際、ロックダウンに踏み切った米独英各国をみても、最悪シナリオの兆しが伺えます。例えば、レストラン。店内での飲食利用件数はご覧の通り、3月19日にカリフォルニア州が初めて外出禁止令を発動する以前から急減し、同21日までには、ゼロとなってしまいました。もちろん、テイクアウトやデリバリーを除きますが、3月21日週の米新規失業保険申請件数が前代未聞の急増を記録した理由が垣間見れます。
外出禁止令が発動された州は、3月30日時点でご覧の通りで38州を数えます。
州全土に講じなくとも、テキサス州やフロリダ州等は州内の地域ごとに実施済みなんですよ。トランプ大統領が3月16日に「15日間の行動指針」で外食の自粛等を提示した影響も及んだのでしょう。この行動指針は、3月29日に4月30日までに延長されましたね。
筆者は、外出禁令に反対しているわけではありません。ただ行動するなら素早く、痛み止めを用意した上で大鉈を振るうべきと考えます。実際、カリフォルニア州やNY州が外出禁止令を決断できた背景には、連邦政府の協力もありました。3月13日、トランプ大統領は国家非常事態宣言を発動、スタッフォード法に基づき、連邦緊急事態管理庁(FEMA)の管理下で州政府支援枠を確保していたのです。
その後、各州が非常事態宣言を経て外出禁令を発動した結果、トランプ氏はNY州に3月20日、カリフォルニア州には同22日に連邦緊急支援を承認しました。
外出禁止を決定した米国や国内封鎖などを欧州各国は、雇用対策を実施済みです。
・米国→景気刺激策(CARES Act)で支給額の上乗せや延長等を盛り込み失業保険を拡充
・ドイツ→クルツアルバイト(時短勤務)を導入、勤務時間短縮や休業などによる賃金減少の6割などを企業と政府が分担して補填
・フランス→休職中の従業員への給与を法定最低賃金の4.5倍を上限に国が100%補填
・イタリア→賃金補償の対象を拡大、最大3ヵ月間の給与を政府が補償
100ドル札の顔であるベンジャミン・フランクリンは「あまりに寛容な法律はほとんど守られず、あまりに厳格な法律は励行されない」との名言を残しました。日本そして東京がどのような道を進むにしても、覚えておきたい言葉ですね。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年3月31日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。