こんにちは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
突如として降って湧いた「布マスク2枚を全国民配布」という飛び道具に惑わされつつ、医療政策は医療政策として、目先の困窮を救済する生活支援策を考えなければなりません。
一律の現金給付が速やかに行われるのがベターではありますが、仮に「一律」であったとしても2~3ヶ月かかるのであれば目先の「生活支援」にはならず、別の方法を模索する必要があります。
【注】
とはいえ、昨日のブログで示した「政府小切手」などの可能性もありますし、時期が遅れても「経済対策・景気浮揚策」としては現金一律給付に期待できるので、それはそれとして政策案としては放棄せず検討・提案を続けます。
そこで、松井一郎市長のアイディアを元に、かつて敏腕官僚であった足立康史代議士が一晩で考案したスキームがこちらです。
名付けて、正式名称は「無利子無担保 100%政府保証 事後マイナンバー紐付審査 給付切替 生活資金貸付制度」(とのことですが、名前は覚えなくて大丈夫です)。
社会福祉協議会(社協)が窓口となってすでに実施されている「生活福祉資金貸付制度」を拡大するものですが、ポイントは民間金融機関・貸金業者を活用して迅速な現金支給を行い、さらにはマイナンバーを用いることで返済を免除し、実質的な給付にできるという点です。
このアイデアは「実施スピード、総予算、事務コスト、公平性」のすべての観点から、現金給付や助成金制度よりも優れています。生活支援や補償と経済対策はわけて考えるべきで、長期化する感染拡大期には経済対策よりも生活支援や補償に資源を振り向けるべき。しかしスピーディにやらないといけない。 https://t.co/EIhBalJ1Do
— 藤田文武(衆議院議員 日本維新の会) (@fumi_fuji) April 2, 2020
藤田議員が評価する通り、スピード・効率・公平性のすべての面でベストと言える政策案です。
概念のみをすごく簡略化すると、こちらの図に(音喜多事務所作成、とある委員会で使わなかった幻のパネル…)。
順を追って説明していきましょう(番号は足立議員作成資料の内容に準ずる)。
Step①~② 保証の認定
利用者(国民全員が対象)は地方自治体に「保証」のみ申し込み、承認を受けます(ここは場合によっては、郵送やWEB登録で完結することも考えられる)。
Step③~⑤ 融資
保証の承認を受けた利用者は、お近くの金融機関・貸金業者に「融資」を申し込みます。
後述する通り、この融資は100%政府が保証し、地方自治体が代位弁償するので、貸し手側が断ることはありません。
窓口を少しでも増やすために、法令を遵守している消費者金融まで活用することも考えられます。
現金の取り扱いには慣れているため、役所や社協から現金を受給するよりスムーズに済むはずです。融資の内容は例えば
・月10万円を上限(1年程度か?)
・無利子、無担保、無保証人
・返済まで最大3年程度の据置期間(返済猶予期間)あり
・コロナ終息後、生活再建に伴い返済を開始
・ただし、債務者の資力に応じて返済を減免
ということで、返済をする人は返済して終了ですが、最後の「減免」がポイントです。
Step⑥~⑦ マイナンバーの活用、返済金額の減免
利用者はマイナンバーカードを申請し、収入・資産と紐付けてもらいます。その利用者の所得状況次第で、地方自治体は返済を免除。
このハードルを高めに設定すれば(例えば年収500万以下世帯は返済不要など)、相当数の人々に「事実上の給付」として現金を支給できます。
マイナンバーカードを申請し、収入・資産との紐付けを行わなければ、当然この減免措置は申請できません。そのため、マイナンバーシステム普及への強烈な推進力になります。
Step⑧~⑨ 政府による100%保証で、事業者&自治体負担なし
利用者の返済を減免した場合は、代わりに地方自治体が貸し手である金融機関・貸金業者へ貸付金を返済します。
その後、政府が地方自治体に負担分を全額交付するので、地方自治体の負担もありません。
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長くなりましたが、以上のように
・迅速に幅広く現金を支給できて
・マイナンバーカードとシステムを普及し
・バラまきにならずに事後調整できる
という、一石三鳥とも言える仕組みとなっています。
安倍総理が本気で「必要な人たちに、迅速に必要な分を」届けたいのであれば、到底、現在の生活福祉資金だけではまかないきれません。
少し後の経済政策(減税や真水の政策投資)とはまた別に、我々は提案型野党の矜持として、こうした具体的な政策パッケージを示し、国会論戦を建設的に進めて参ります。
維新の緊急提言第四弾についても、進捗は随時ご報告していく次第です。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2020年4月2日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。