現場は一瞬凍りついたが、マスクをつけたまま番組収録は続行された

新型コロナ感染症が拡がりを見せ始めた当初、ウイルスの大きさがマスクの網目よりも小さいことを根拠に、WHOや欧米諸国はマスクの使用を推奨せず、手洗いが1番重要だと発信しました。

その論調が日本でも広まり、私のまわりも「だって、マスクは意味がないんでしょう?」と、つける必要性を感じていない人が増えました。

私は逆に「マスクは必須」とし、会社でもすぐに社員用のものを調達させ、本社だろうが店舗だろうが出勤してきたら必ず新しいマスクを一枚渡して着用を義務付けました。その後、一気にマスクが品薄になり、中には「新しいマスクがもらえるから」とシフトに入りたがるアルバイトも出てきたほどでした。

私はウイルス科学者ではありませんが、初期の頃からコロナは「無自覚の感染者が多い」という疫学的レポートを読んでいたので、それでは「うつらないように」ではなく「うつさないように」しなくてはならないと反射的に考え、「症状がない人も全員マスク」と、すぐに社内ルール化をしました。飛沫の危険性を少しでも下げる効果があるなら有用なはずだと、単純に結論付けたのです。

(マスク以外にも、同じタイミングで仕入れた業務用消毒液で30分毎の手洗いや、食器類、椅子テーブル等、様々な場所を消毒するというルールをいち早く設定し、衛生管理は厳しく徹底しました。もちろん、社内・店内でどんなに徹底しても感染する可能性はありますので、社長として緊張の日々ですが、今のところ弊社スタッフの発生者はいません)

そして、今となってはアメリカ保健当局も国民にマスクの使用を推奨し、他の西側諸国においてもマスク使用者が一気に増加しています。やはり、マスクの重要性が再認識されたということでしょう。

個人的に使っているマスク。もう5回洗ってリユーズしています。

私自身も人がいるところでは必ずマスクを着用し、社内用の在庫は減らしたくないので、ハンドメイドでリユーズ可能な物を使い始めていました。そんな中で、とんねるず石橋貴明さんのトーク番組に呼んで頂いた時に、神田のお店で見つけたマスクをお土産に持って行ったのです。

Eggs ‘n Thingsにマッチするようなハワイアンデザインで、個人的にも気に入っていたのですが、プレゼントしたのは「テレビやネットに出る人たちにも番組内でマスクをして頂きたい」という意図でした。

その頃はまだワイドショーはおろか、ニュース番組でも、政治家の記者会見でも、出演者同士の距離さえ取っていない状況だったからです。

テレビで国民に向かっては「距離を取ってください!マスクや手洗いが大切です!」と声高に叫びながら、自分たちは飛沫感染を防いでいない。それでは全く説得力がありません。特に若い人たちは、その矛盾をすぐに見抜きます。

そこで、ダメ元で石橋さんにプレゼントして、できれば着用して番組を収録しませんか?と提案してみました。提案した時は、制作と局の方々は一瞬凍りつきました。

しかし、石橋さんが自然にマスクを着けて、「これでやりましょう」と言って下さったのです。
そこで、トーク番組としては異例中の異例、マスクを着けた2人の対談が繰り広げられたのです(現場にいた制作の人たちは、危険地ロケや何かの演出以外では史上初だろうと言っていました)。

感動したのは、石橋さんの柔軟さ。テレビで顔をだしてナンボの芸能人が暗い中、マスク姿でトークをすることにすぐOKを出す直感力。まわりが何と言おうと前例を気にしない突破力。さすがです!

私が帰国して日本のテレビを見だした時に、もっともインパクトがあって好きになった とんねるずの石橋さん。これからもこういう方に若者の見本としても活躍してもらいたいと心から思いました。

報道ステーションの富川アナも感染してしまったとの報道がありましたが、今後はテレビ制作において、距離をあける以外にもマスクをつけての出演を試みるなど、ぜひ国民の模範となるような策を検討して頂きたいと思います。

皆さんも引き続き、距離、手洗い、マスク(手作りでも)の徹底をお願いします!

▼番組情報
フジテレビ「石橋、薪を焚べる」
4月14日(火)深夜 24:40~ (編成に伴う放送時間変更のため常時より15分繰り下げられています)
番組公式サイト


編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、元参議院議員の松田公太氏のオフィシャルブログ 2020年4月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。