大学の授業、「緊急事態」鑑み見直しを --- 藤井 善将

新年度はオンラインで

私の大学は新年度を迎え、ウェブ会議システムを用いたオンライン講義が始まった。米国のクラウドコンピューティングを使用したWeb会議サービスと大学独自のオンライン講義システムを併用し、学生は前もって履修登録した科目を受講する。それら科目のほとんどは本来、キャンパスに通学して受講する予定の講義であった。

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緊急事態で変わる授業

緊急事態下にあって、国民の生活は種々の影響を受けている。私が学生として経験した授業では、大学が座学の講義をやめ、ネット上のシステムで講義資料をPDF形式で配布したり、ウェブ会議システムを使った講義に切り替えたりしている。その教育サービスは講堂でのそれに比べ、学生が現場で講師と対面して指導を受けられない分、質として低下するのは否めない。

しかしながら、大学の授業料は以前の1年あたり100万円程度と変わっておらず、また減額されてもいない。これはサービスの対価として見合うものだろうか。

例えば大部分の科目でオンライン授業を取り入れていた、ある公開大学の学費を見ると、1年あたり20万円程度となっている。これは私の大学と比較した場合は5分の1ほどになる。

大学がオンライン講義に単位修得を切り替えたのは、国の緊急事態という全く新しい状況に対応するものであるはずだ。私の大学は現在、キャンパスへの入構を禁止している。学費の内訳に含まれうる、たとえば施設維持費や大学職員への賃金といった大学の運営費についても、現在と1年前とは状況が異なっているのではないだろうか。3密を避けるため、大学職員の出勤も減っているのではと思う。

学生の家計鑑み見直し望む

国の緊急事態宣言を受け、全国で多くの大学が授業再開を見送ってきた。各大学がオンラインで新しい方式の授業を展開するのであれば、学生や関係者にその方法や内容、料金に関してまずは説明すべきだ。

授業形態の変化に合わせ、国全体で学費の見直しを行うのが望ましい。そして家計の収入減少などを鑑み、一時的な学費減額や割引の措置も検討すべきだ。行政などが補てん金や協力金という形で交付すれば、措置が容易になるのではないだろうか。

とはいっても、大学はその維持や運営に十分な資金が必要だとも考えられる。そこで無理に大学へ見直しを求めることはせずに、行政が学生のいる家庭に手当を給付するといった方法もあるだろう。そうすれば大学が正規の学費を請求したとしても、アルバイト収入や家計の減少に苦しむ学生にとっては援助となる。

学生の対応すべき緊急事態

多くの学生は授業が再開できず、また大学3、4年生ともなれば就活に影響がある現状だ。目下の緊急事態に対応する必要がある。

それはオンライン授業だけでなく、学生のアルバイトや就職といった活動の機会減少に伴う学費面の負担を増や将来への影響をできるだけ抑えることだと考える。


藤井 善将 南山大学4年生
推理小説を複数出版し、郷土歴史研究に取り組む。