すでに3月の一斉休校から2カ月以上が経過。連休明けには緊急事態宣言の1か月延長が正式決定される公算です。6月に事態が好転しているか予断を許さない中で、すでに小中学生の生活リズムの乱れの報告があり、学力低下への懸念が強まっています。
頼みのオンライン学習も、文科省調査(4月16日)では、「双方向型のオンライン指導」ができている学校はわずか5%。教育委員会作成の動画活用(10%)、それ以外のデジタル学習(29%)を含めても半数に届いていません。OECDとハーバード大学が共同で緊急調査していますが、新型コロナになってからのオンライン授業の利用状況は先進国最低です。
なぜ、そうなってしまったのでしょうか?教育の情報化だけに議論を絞れば、機器と通信環境については市町村長、オンライン学習を立上げ運営できる人財の確保と育成については国政と知事の責任です。
これまで教育の情報化や教育人材の充実をさぼってきた地域の首長や、教育予算確保に関心を示してこなかった政治家やメディアが、突然、9月入学に躍起になっているのは、どうも解せません。
小中高の「9月入学」は、もちろん意味はあります、それだけに、遅れたオンライン学習導入の責任をごまかすための議論に、使われてなりません。真に子供たちの未来のための真摯な議論のなかで決めていってほしいものです。
編集部より:このエントリーは、TOKYO HEADLINE WEB版 2020年5月7日掲載の鈴木寛氏のコラムに、鈴木氏がアゴラ用に大幅加筆したものを掲載しました。TOKYO HEADLINE編集部、鈴木氏に感謝いたします。