新型コロナ禍で、中小企業支援に求められる2つのキーワード

緊急事態宣言で休業中のパン屋(編集部撮影)

いま公的な中小企業支援に求められるキーワードはズバリ、「希望」と「安心」だと思います。
まずは手元資金をいかに厚くするか、公的な融資制度や補助助成制度を活用しながら、中小事業者の目の前の安心を確保すると言うこと。

しかしただそれだけでは希望がありません。この先の見通しが立たないのにお金を借り続けると言う事は、途方もない、何とも言えない気持ちに事業所の方がなるのは、間違いないことです。

だからこそ単にお金を借りるサポートするだけでなく、ここでどうにかして新たに売り上げを上げていく可能性を一緒に描けるか。つまり、これからへの希望を提供できるかな我々に今問われていると思います。

一方で、現実の公的産業支援の現場に目を向けると補助や助成、融資といった制度の案内に終始しているケースも少なくない。もちろん、それは目の前の安心のためのとっても大切なこと。だけれど、いま必要なことは、その先への「希望」だと思うのです。

知恵を出して、自社の魅力を生かしていくこと。新型コロナが人々のライフスタイルやワークスタイルを変えると言う事は、そこに新たな変化が生まれ、新たなニーズやビジネスチャンスが生まれると言うことです。

新たに生まれるニーズやチャンスを捉えて、売り上げアップをサポートしていくと言うことが、いま公的産業支援機関に求められている本来の役割だと思います。

そしてこの新型コロナは公的産業支援機関のあり方を大きく変えようとしています。
感染症を予防すると言う観点で相談の多くは今やオンラインのテレビ会議システムに移行しました。これは確かに不便を感じる人もいるかもしれませんが、距離を感じなくて済むと言うこと。

そして妊娠中や小さなお子さんがいる方、あるいは身体に障害を抱える方々がこれまでだとなかなか相談に来れなかったのに、これをきっかけに誰もが気軽に経営相談をできる環境になったわけです。
そういった観点では、挑戦をすることに優しい社会に近づいたと言えるかもしれません。

さらに、中小企業向けのセミナーはこれまで各自治体単位で行われてきました。
しかしセミナーそのものもオンラインに切り替えられ、ウェブで行うセミナー、ウェビナーとなった今では、受講者は例えば岡崎市に縛られる必要は無いわけです。

遠隔医療の一部解禁が大きな話題になりましたが、同じようなことが起きています。
実際にOKa- Bizのオンラインセミナーは市外や県外の方々も受講をしています、SNSを通じて存在を知れば各地にいる子達が見ることができる。ほんのちょっとの変化かもしれませんが自治体の枠を超えて情報発信をすることが容易になるのです。知識はナレッジを共有でき、そして必要であれば遠隔地の方からも相談を受けることができるようになる、これはとても素晴らしいことだと思います。

一方でこれはフラットになっていく中で心に力のある経営相談機関と、そうでないところの競争が始まると言うことも言えるだろうと思います。

さらにこの新型コロナウイルス感染症は、単に中小企業の個社支援だけでは到底太刀打ちできるものではありません。様々な地域おこし団体や取り組み、様々な行政機関とのネットワークを広げ連携を持ち、地域活性化のリーダーとして我々がどのように立ち振る舞いできるかと言うことが求められる、あるいはそのネットワークを広げられるチャンスと言う意味でも大きな変化かもしれません。

こうした大きな社会の変化の中で今公的産業支援機関が、これまでのあり方にとらわれることがなく、新たなあり方や果たすべき役割に向けてどんどんチャレンジすることが極めて重要だろうと思います。


編集部より:この記事は、内閣府地域活性化伝道師・OKa-Bizセンター長、秋元祥治氏のブログ 2020年5月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「秋元祥治(岐阜・G-net・OKa-Biz)の活動日記」をご覧ください。