読売巨人軍が、坂本勇人選手と大城卓三選手が新型コロナウイルスに感染していたことを発表した際に使われた「微陽性」という言葉がネット上の注目を集めている。
PCR検査で、実際は陰性にもかかわらず陽性と出てしまう「偽陽性」という言葉は知られているが、「微陽性」はメディアで初めて登場したとみられる。報道では、「正常値ギリギリの値を指す」言葉とされているが、医師ですら「初めて聞いた」というコメントも出てきた。一部はマスコミ報道への批判につながるなど、波紋が広がっている。
「微陽性」が注目されたのは、3日午後、両選手の感染が速報されたときだった。しかし、ネット上では聴き慣れない言葉にツッコミや疑問が続出。
微陽性なんて初めて聞いたわ(笑)
新しい(?)用語がでてくるなぁ。後付け設定みたいw
一般人だけでなく、医師のコロナファイターさんも
勉強不足で大変申し訳ないのですが、「微陽性」とは一体なんなのでしょうか。誤解を招きかねないので、謎の概念を作るのやめてもらっていいでしょうか。
と苦言を呈する有様になった。
勉強不足で大変申し訳ないのですが、「微陽性」とは一体なんなのでしょうか。
誤解を招きかねないので、謎の概念を作るのやめてもらっていいでしょうか。
— コロナファイター (@KotaMaltaT) June 3, 2020
さらに一夜明けて夕刊フジのネット媒体「ZAKZAK」も、医学博士の中原英臣氏の「私自身、微陽性という言葉を聞いたのは初めてだ。医学的には通常使われない言葉ではないだろうか」というコメントを紹介している。
「微陽性」って何? 医学博士「初めて聞く言葉。医学的には通常使われないのでは」(ZAKZAK)
マスコミ報道への疑問も多いが、医療の取材に不慣れなスポーツメディアが造語するとは考えづらい。やはり発表した読売巨人軍などの元の情報がポイントになるが、巨人軍は前日の公式ツイッターで、
昨日PCR検査を実施したところ、本日 #坂本勇人、#大城卓三 両選手に陽性判定の連絡がありました。2名は正常値ぎりぎりの「微陽性」でした。
とコメントしていた。巨人軍や親会社の読売新聞が「言い出しっぺ」なのか、それとも助言を送った医療関係者が提案したものなのか、それとも感染症の特殊な用語として密かに存在していたのか、謎は深まるばかりだ。
巨人軍は、希望者全員に新型コロナウィルスの抗体検査を実施し、4名の選手らにIgG抗体が確認され、昨日PCR検査を実施したところ、本日 #坂本勇人、#大城卓三 両選手に陽性判定の連絡がありました。2名は正常値ぎりぎりの「微陽性」でした。
詳細はこちら➡https://t.co/FAWJTLATir#巨人 #ジャイアンツ— 読売巨人軍(ジャイアンツ) (@TokyoGiants) June 3, 2020
中原医師は夕刊フジの取材に
「『微陽性』という言葉をあえて用いたのは、開幕戦などを控える手前、ウイルス量が少ないことを強調したかったからではないか」
と推測しているが、誰がなんのために造語したのか。このまま明確な説明がなければ、ネット上の不信は強まる可能性もある。
なお、この日、巨人軍は、坂本、大城両選手のPCR検査結果について「陰性」だったことを発表した。一時危ぶまれたプロ野球の6月19日の開幕も予定通りに行われそうだ。