「安倍一強」の終焉か?

官邸サイトより:編集部

先週閉会した第201通常国会を経て、安倍晋三内閣に対する国民のサポートは大きく低下しました。各社世論調査では揃って低迷を続けており、緊急事態宣言の全面解除直前のもので支持率27%・不支持率64%(毎日新聞)というのまでありました。また18日公開された「文春オンライン6月調査」の結果を見ても、支持率21.6%・不支持率78.4%と散々でした。

これまで「安倍一強」とも言われる状況が長く続いてきたわけですが、私は「何れこうした時期は来る」と思っていました。色々な場面で、それは暗示されます。例えば、善かれと思ってやっているものの結果として、する事なす事裏目に出て中々上手く行かないような状況が続き、退陣が近づいて来ているのではないかという気がしていました。

例えば、「アベノマスク」や、「シンガーソングライターの星野源さんとのコラボ動画」にも大変な批判が巻き起こりました。あるいは「現金給付」や「検察庁法改正」、「9月入学」などは与党ともごたついた挙句、当初方針を転換せざるを得ない事態となりました。

更に、安倍さんが5月中の承認を目指すとしてきたアビガンは、税金を使って政府が買い取ったり、海外に無償供与したりしましたが、未だ承認を得られないといった有様です。先週木曜日「河井夫妻逮捕」となりました。もう何かに付けて悉くうまく行かないわけです。

昨年11月、安倍さんの通算在任日数は「明治、大正期に首相を3回務めた桂太郎の2886日を超えて憲政史上最長」となりました。そして再来月には、「大叔父である佐藤栄作の連続在任記録も上回ること」になります。来年9月までの自民党総裁任期を全うするかどうかは分かりませんが、一つの時期が来ているというふうには見ることが出来、また恐らく安倍さん御自身でも今ある意味辞め時を探しているのかもしれません。功成り名を遂げた安倍さんは、晩節を汚す前に辞めた方が良いと思います。

古代中国では天命が下った人が天の代理として、此の世界を支配すると考えられており、その代理が「王」であり「天子」であったわけです。その王が天意に沿わなく、今の政治は良くないと見ると、天は警告を発するわけです。当時はその警告は天変地異の形を取ると考えられていました。その警告にも拘らず政治を改めないと革命が起こり、政権が離れて行くのです。今回のコロナ禍とその問題への対処についての批判もこうした天の警告かもしれません。

ではポスト安倍が誰になるかと言えば、政治の世界は本当に一寸先は闇であり、思いも寄らぬ力学が働かないとも限りません。例えば今月6日リツイートした記事中にも、石破茂さんが「安倍色の強い議員以外の挙国一致内閣」を目指すとして、可成り穿った見方とは思われるものの次の通り書かれていました。

二階(俊博)氏・菅(義偉)氏が、“選挙の顔”として石破氏を担ぐ。石破氏も、両氏を政権の中核として処遇し、官邸・党にグリップを利かせる。そして、次世代を担う人材を閣内で競わせる。小泉純一郎元首相のように、派閥の論理を超えた“適材適所”の内閣を作るだろう(ベテラン政治部記者)。

今月8日、二階幹事長は石破さんにつき「我が党でも最も古い政治家、最も経験豊かな政治家の一人であることには違いない。大いに期待をして、将来さらに高みをめざして進んでいただきたい期待の星の一人だ」と言われたようです。今、此の「8~9月に清新な党役員人事と内閣改造を行い、その直後の解散が考えられる」(自民党の若手議員)等々の見方も報じられますが、何れにせよ二階さんが引受けられた9月の石破派パーティーでの御講演内容が注目されます。

いわゆる良い状況であれば、「岸田禅譲」も有り得たかもしれません。しかし今のコロナの状況は、石破さんがダークホースとして出てくることも有り得る乱世に当たります。尤も、石破さんは各種メディアによる「次の総理に相応しいのは誰か」といった世論調査で、非常に根強い支持を得続けている人物です。ある程度大所帯の複数派閥の何処かが「石破で行こうか」というふうにでもなったらば、此の変わり目に石破内閣発足に導くような力学が働き得るのかもしれません。


編集部より:この記事は、北尾吉孝氏のブログ「北尾吉孝日記」2020年6月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。