田原総一朗です。
6月18日、河井克行前法務大臣と、妻の河井案里参議院議員が逮捕された。
案里議員が立候補した2019年7月の参議院選で、広島の地元議員らに計約2570万円を配り、買収した容疑だ。
当然ながら、事件は2人の逮捕で済む話ではない。
その資金が、どこから出たのか。
自民党本部から河井案里陣営には、1億5千万円が振り込まれていたことがわかっている。
これは同じ広島選挙区の現職、溝手顕正氏に渡った運動資金のなんと10倍に当たる。
克行容疑者は首相補佐官や、自民党総裁外交特別補佐を務め、安倍首相や菅官房長官と極めて近い関係だったという。
それにしてもあからさまな「えこひいき」だ。
河井陣営が地元で配った運動資金の原資は、当然ながら自民党本部からの金だと考えられる。
ここで重要なのは、買収資金の原資の提供も捜査対象となり、捜査が自民党本部、安倍政権にも及ぶ可能性があるということである。自民党の責任者は二階幹事長、政権の責任者は菅官房長官、そして当然ながら、最高責任者は安倍首相だ。
その誰かが立件される可能性がある。
ここで思い出してほしい。
黒川弘務前検事長の、賭けマージャン問題で廃案になった、「検察庁法改正案問題」である。
かつての自民党は、政権に問題が起きれば与党であっても党内から政権批判が起きた。
そして岸信介や、田中角栄、宮澤喜一などの首相が退陣していった。
この自浄作用があったからこそ、自民党政権はこれだけ長く続いたのである。
あまりにも国民をバカにした安倍政権には当然怒りを覚えるが、それを許す自民党の劣化に強い危機感を覚える。
編集部より:このブログは「田原総一朗 公式ブログ」2020年6月24日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた田原氏、田原事務所に心より感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「田原総一朗 公式ブログ」をご覧ください。