日本はだいぶ戻りつつあるように見受けられますが、北米はどこに向かうのか、まだまだ模索しているように感じます。そんな中、コロナで勝ち組はどんなところだったのでしょうか?
ここバンクーバーは5-7月は一年で一番美しい時期となります。特に6月はカナダの自転車月間となっていた上に5月にはbike to work week なる自転車週間までつくったことで通勤者や健康増進に自転車が一気に街にあふれました。街の自転車屋からは一部の高級な自転車を除きほとんどが売り切れとなりラジオからは1000ドル(8万円)以下の自転車はバンクーバーにはもうないとまで言われました。
事実、私も自転車が欲しいところだったので自転車屋に行くと何処も長蛇の列。やむを得ず、著名な中古自転車の店に入るとかつてあれほど陳列されていた中古自転車売り場には子供用の自転車が数台、ポツンとあるだけという「惨状」でした。
飲食店はどうでしょうか?テイクアウトはどこのレストランも始めたものの成功組、失敗組が明白に別れたような気がします。そもそもテイクアウト向きのフードとそうではないものがあります。ラーメンなどはいくら麺とスープが別容器になっているとしても決しておいしそうには見えません。一方、寿司はピザやハンバーガーと並び成功した店が多かった気がします。
インスタなどSNSを駆使しておいしそうな写真を使い、近隣の顧客を取り込んだ店はテイクアウト待ちの行列ができるほどでした。が、そもそもそれらの店は突然SNSを使ったから成功したわけではなく、もともと繁盛店だったものが必死に顧客のつなぎ止めを行おうとしたところに成功の理由があったと思います。
つまりSNSが成功に導いたのではなく、普段の努力とコロナでもそれを逃さない着実な工夫だったと思います。インスタ映えがこういう形で成功したのはビジネスツールの組み合わせだったと思います。
マクドナルドも成功だったと思います。日本では飲食大手の勝ち組トップではないかと思いますが、日本でいう「パーク&ゴー」、カナダでいうcurbside serviceはアプリと駐車場とデリバリーを組み合わせたアイディアでドライブスルーの長蛇の列のイライラ感を解消するヒットだったと思います。
変わったところではペットのケアサービスは流行っていたと思います。私のところのテナントにもペットショップがあるのですが、そこはショップより犬のグルーミングサービスや犬の歯のチェックをするサービスをしています。日によっては犬を連れた客が店の外に行列するほどの盛況でグルーミングルームはフル稼働という状況でした。
ZOOMも勝ち組の一つでしょう。オンライン会議のサービスは大手がこぞって参入しており、ZOOMについてはセキュリティの脆弱性が当初指摘されました。オンライン会議、飲み会、チャットが当たり前になったこの時代、思った以上に高いハードルだったのが「えっ、どうやるの?」「私、出来ない」といったトラブルでした。つまりITに疎い世代にとって「はじめの一歩」がものすごく大変だったのですが、ZOOMがあまりにもポピュラーになり、一度やり方を覚えるとZOOMしかできないという状態になるのです。勝手な想像ですが、ZOOMはYouTubeのようなブランドネームの確立と市場の圧倒的シェアを取れるとみています。
自動車についてはテスラが勝ち組だったと理解しています。理由は自動車のネット販売という新天地を切り開いたのが大きかったと思います。そもそも販売力の弱点を補くべくネット販売を中心に展開していたわけでコロナになっても潜在顧客との応対がほとんど平常時と変わらずに行えた点は企業価値を更に引き上げたと思います。
こうみると勝ち組はコロナの前から次世代に向けた取り組みを行っており、このような事態になっても普段の努力をしながら、できる範囲の工夫をしていたことが勝因だったと思います。コロナだから突然スポットライトを浴びたというより、平常時から店側が顧客との関係を維持していたところがよい結果を生んだと思います。
その背景には臨機応変な対応があったことも重要です。大企業がなかなか決定しないのと違い、すぐさま、次々と新しいアイディアを現場で取り入れていったところは素晴らしいと思います。
私が時々お世話になる寿司屋に先日行ったところ、寿司カウンターに透明のプラスティックの壁ができていました。ちょっと違和感はありましたが、カウンターで寿司が食べられると思えばうれしいものです。コロナの勝ち組は自分が何をしなくてはいけないかきちんと掌握し、危機対応ができたということでしょう。
日本企業にはなかなか良い教訓になったと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年7月13日の記事より転載させていただきました。