有料レジ袋にキレる人たちが気付かない5つの誤り

黒坂 岳央

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
※Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka

有料レジ袋に憤慨するクレーマーに手を焼く様子が、Twitter上にあふれている。

acworks/写真AC

「有料だと?ならいらねえよ!こんな店二度とくるか!」と商品をレジに投げつけて退店する。コンビニで買った弁当を温めた後に「有料?ならいりません」と温かくなった弁当をそのままにして無責任に出ていく老人など、目を覆わんばかりだ。ちなみに「二度とこない!」という人ほど約束を破ってすぐ再来店するw

筆者は有料レジ袋への対応には、その人の歩んできた人生観が見えると思っている。そして彼らは5つの過ちを犯している。

https://twitter.com/takeokurosaka/status/1279004012822446080

有料レジ袋が悪法なのは事実。だけど…

編集部撮影

有料レジ袋システムそのものが悪法なのは事実だと思う。

特に昨今のコロナ禍においては、感染拡大防止の意味合いも込めて、エコバッグよりレジ袋を配ったほうがいいのは明白だ。筆者はお金を支払うことには1ミリも抵抗はないものの、店員さんから「レジ袋どうしますか?サイズは?」と尋ねられる手間が増えたことに不便さは感じる(それ以上に店員さんの苦労が気の毒だけど)。

だが、そのことに怒りを覚え、罪のない店員さんに激怒するのは明らかに間違っている。レジ袋の面倒やクレームを引き受ける店員さんは、間違いなく利用者以上にこの悪法の犠牲者だ。消費者は彼らのご苦労を労うことはあっても、怒りをぶつける対象にするべきではない。

狭い店舗で暴れるくらいにレジ袋の悪法に怒りを覚えるなら、自分が政治家に立候補して法律を変えればいい。それが民主主義社会での正しいふるまいだろう。

 有料レジ袋でキレる人の5つの問題

筆者は心理学が専門ではないが、有料レジ袋にキレる人たちの心理を次のように考察している。

・店員さんを下に見ている。
・物事の本質を思考できない。
・情報感度や経済観念がない。
・感情の抑制する力が希薄。

 端的に言えば、ビジネスを成功裏に導いたり、深い人間関係を構築する力に欠けているということだ。1つずつ見ていきたい。

 1. 店員さんを下に見ている。

まず、店員さんを下に見ているのは明らかだ。レジ袋に限らず、キレる人は相手を選んでキレている。彼らは自分の上司や、チンピラの前では借りてきた猫のようにおとなしい。キレることで自分が損失を被る場合は、キレずに我慢する。つまりキレるという感情爆発をしている割に、自己保身への算段については非常に臆病、弱いものにしか強く出られないチキンな性格ということだ。

 2. 物事の本質を思考できない。

そして物事の本質を理解する力に欠けている。有料レジ袋は消費者を困らせるために導入されたのではなく、経済産業省によると「エコのため」ということだ(本当にエコかは別で、あくまで名目上での話になるけど…)。エコの実現には、人間の利便性を犠牲にするトレードオフが必要となる。その意図を考えず、パブリックの場で「オレが不便だ!」と憤るのはただの感情の失禁でしかない。迷惑だから、公共の場で感情のおもらしをするな。

 3. 情報感度や経済観念がない。

さらに彼らは情報感度が低く、経済観念が極めてゼロに等しい。有料レジ袋については、全国的に大きな話題になっていたはず。コンビニやスーパーでも「7月からレジ袋は有料になります!」とデカデカと出ていた。網膜には情報として映っていたのに、その映像情報が脳内に理解できる形に届かなかったということは、彼らの情報への解像度が極めて低いことを意味する。

そしてレジ袋はせいぜい3円とか、5円だ。3日に1度、3円のレジ袋を買っても1年間でたったの366円。毎日欠かさず買っても1,095円だ。手ぶらで買い物したものを持ち帰る手間を減らせる利便性としては、メチャメチャ安い買い物だろう。この費用をケチることで、何か人生が変わるインパクトはないだろう。

 4. 感情を抑制する力が希薄。

最後に感情の抑制力がない。これは信用経済下においては、非常に不利になる。先日、レジ袋有料化に激怒した男性が警察に保護され息を引き取った。経緯は明らかになっていない部分はあるけど、レジ袋にキレなければなくなることはなかったはず。亡くなるまでいかなくても、激昂から逮捕はあり得る。わずか3円や5円の出費で命を落とすのは得策ではないと思う。

 レジ袋でキレる人の人生観

レジ袋有料化でキレる人は、自身の人生観を首から札をさげて歩いているのに等しい。

「自分は感情を抑制できません」

「計算する力がありません」

このように自己紹介をして歩いている。レジ袋でキレる人を見ると、その人の人生観がハッキリと露見してしまう。大の大人の振る舞いとして恥をかかないためにも、こうした納得感のない制度に対してこそ、冷静に対応する必要がある。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。