7月14日(火)に、「 #保育教育現場の性犯罪をゼロに」を訴える記者会見をしたことはご報告したばかりなのですが、マッハで森まさこ法務大臣が会ってくださり、直接要望させて頂けました。
相変わらずですが、
・性犯罪の前科者を、子どもと関わる保育・教育の現場からキックアウトしてほしい
・なぜなら子どもへの性犯罪の再犯率は85%と激高で、1人の性犯罪加害者は平均380人の被害者を生んでいるから。少なくとも再就職は教育・保育現場じゃなくて他の職業に就いて頂きたい
・でも今だと、犯罪によって免許剥奪されても、教員は3年、保育士は2年で再取得できちゃう
・個人が警察に無犯罪証明を出してもらって、それを就職先に提出して、はじめて雇用される、という仕組み(=日本版DBS)にしてください
・現に、今だって海外で働こうとした場合、警察が毎年4万件も無犯罪証明出してるんだし。海外の子ども達を守るのに無犯罪証明は出せて、国内だとダメ、っていうロジックないでしょ?
というようなことを森大臣にはお伝えさせて頂きました。
一方で、森大臣はその辺全部ご存知で、それどころか性犯罪についてものすごく熱心に取り組んでいらっしゃる政治家でした。さすが元弁護士。
逆にいろんな周辺知識や各省庁の温度感や課題などを、大変協力的に諸々ご指導くださり、大きな示唆を得ました。
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これまでいろんな政治家の方や官僚の方々に聞いて回ったことをまとめます。
海外渡航の際には無犯罪証明出していて、それは外務省設置法という古い法律を根拠法として、オペレーションは警察が行なっている、と。
同様のことをやろうとすると、法律が必要だ、と。それを内閣府なり厚労省が作って、オペレーションはすでに回っている仕組みを使わせてもらって国内向けにもやれば、普通にできるのではなかろうか、と。
厚労省だと、児童福祉法という法律があるので、そこで
「保育士等、児童福祉に関わる仕事においては、就労時においては性犯罪の無犯罪証明を必須とする」
というような条文を書き込む、法律改正を行えば良いのではなかろうか、と思うのです。
教育現場への適用だと、学校教育法になろうかと思いますが。
いずれにせよ、ゼロから法律を作らなくても、既存の法改正でできるのだったら、定期的に法律の見直しはしているので、そのタイミングで入れ込んでもらえたら、と思うんですね。
こうやって動いてみると、色々と分かってくるものです。どの省庁も問題意識はあれども、それをどこが担当し、どんな建て付けでやったら良いかは分からず、政治的な優先順位もそこまで高くなかったので、実現してこなかった、という、まあよくあるパターンなんだな、このテーマもという。
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さて、こういう時こそ民間の出番ですよ、みなさん。
この問題、政策的優先順位が上がらなかったのは、国民が大人しかったから。選挙の度ごとに「子どもへの性犯罪対策、なんとかしろよ」って詰め寄られたら、政治家もやろうやろう、となっていたはずなので。
最近は、伊藤詩織さんの勇気ある告発などで、性犯罪について公に声をあげようという動きも出てきて、そうした流れの中で、この子どもへの性犯罪防止についてもしっかりと声をあげていけたら、と思いますので、心ある方々、力を貸してください。
あと、こういうのって女性だけに声をあげさせちゃダメなんですよね。「一部の人たちだけが騒いでるんでしょ」なんて思わせない。これは「みんな」の問題なんだ、って。
でも実際そうですよね?性犯罪は男性も遭うし。自分が遭わなくても、自分の恋人や友人、子ども達がある日いきなり日常と尊厳を奪われるわけで。
みんなで声をあげていって、政治における優先順位を上げていきましょう。
保育・教育関係者の皆さんも、より安心して働ける職場を創っていく、という意味で共に声をあげられたら、と思います。今回のきっかけはベビーシッタープラットフォームでの悲しい事件ですが、二度と繰り返さないためにも、これを機に仕組みを変えていかないと。
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そんなこんなで、これからも政治家の方々に地道に要望を重ねて行きますので、みなさん後押しよろしくお願いいたします。
最後に、こういう「超大切だけど一切収入につながらない」活動を僕たちができるのも、寄付者のみなさんが支えてくださっているからなので、本当に心から感謝です。ありがとうございます。
編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2020年7月19日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。