元BLOGOS編集長、現ABEMA TIMES編集部の大谷広太さんにすすめられ、話題作『なぜ君は総理大臣になれないのか』を観る。衆議院議員小川淳也氏の初出馬から現在までを追ったドキュメンタリーだった。
結論から言おう。私は27回泣いてしまった。まさか、ここまで涙する映画だとは思わなかった。香川県立高松高校→東大法学部→自治省(現:総務省)という、地元では「神童」「エリート」と言われる道から32歳で初出馬。一度は落選するものの、当選。その後、当選を重ねる。政権交代も実現するものの、自民党に政権を奪還され、民主党も迷走。そして、2017年の「希望の党」騒動・・・。
「日本をよくしたいオタク」の彼。賢い。愚直だ。真摯だ。クソ真面目だ。熱い。統計不正問題をただし「統計王子」とも呼ばれた。しかし、選挙区では何度か負け、所属政党のゴタゴタもあり。総理大臣どころか、閣僚もまだ経験していない。
希望の党騒動で有権者から厳しい意見を言われる姿、本人や家族の苦悩もカメラは追い続ける。頭脳明晰でも、熱い想いがあっても、人は必ずしも成功するわけでも、認められるわけではない。当たり前なのだけど。でも、その冷徹な現実をこの映画は追い続け、それが観客を熱くさせる。
野党議員を捉えた映画ということで、政権批判映画だと捉える人もいることだろう。違う。日本社会への問題提起の映画であり、政治家ドキュメンタリーだ。
DJ YOH氏も絶賛。ぜひ。
公開している映画館が近くない人、このタイミングで映画館に行きたくない人も、週末はオンライン上映もあるそうだ。これはチェックだ。
編集部より:この記事は千葉商科大学准教授、常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2020年7月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。