「半沢直樹」の前シリーズのときも思ったのですが、金融庁の幹部の皆様は、あの「愛之助」証券検査課統括検査官の姿をみてどう感じておられるのでしょうか?ご立腹なのか、シンパシーを感じるのか。まぁ「証券取引等監視委員会」という存在は、高視聴率ドラマによって広く認知されるわけですから、むしろ歓迎されても良いのかもしれません。
かつてNHKドラマ「監査法人」のストーリーを当ブログで「会計監査は不正を暴くものではない」と批判した際、多くの常連の方から「まあ、ドラマだからよいのでは」と諫められましたので、今回もストーリー自体には文句は言いません。
ただ、統括検査官がなぜあのようなキャラなのか不思議でたまりません。ということで(?あまり関係ありませんが)、本日は金融庁ではなく財務省のお話しです。
ちょうど2年前に財務省コンプライアンス推進会議のアドバイザーに就任しましたが、毎年この時期は(人事異動に合わせて)組織トップの方々向けにコンプライアンスの基本研修の講師を務めさせていただいております。財務次官、官房長、国税庁長官、各局長、総務課長の皆様一同に会して1時間ほど講話をいたしますが、今年はWEB形式での講話となりました。8月下旬、9月に予定されている事例研修等も今年はWEB研修となるそうです。
時節柄やむをえない、ということは重々理解しておりますが、やはり対面での講話とは異なり、WEB講話はかなりむずかしい、といいますか、熱意が伝わるには限界を感じます。対面での研修だと(みなさん、国会中継の答弁の際のような無表情ではなく)かなり反応していただけるのですが、さすがにWEB上だと反応がわからず、一人でテンションを上げ続けなければならない。時々「こんなセンシティブな話を盛り込んでも大丈夫だろうか?」といった内容にも触れるのですが、聴講されている方々のリアクションがわからないので「マズイ…スベったかも( ゚Д゚)」と不安になるときもあります。
今朝の朝日新聞ニュースにダイキン工業の井上会長のインタビュー記事(成果主義に異論「遅咲きの人もいる」)が掲載されていましたが、井上会長もおっしゃるように、いくら在宅勤務制度が重宝だとしても、対面もなければ組織のコミュニケーション能力は落ちてしまうと思います。既存のビジネスモデルを推進するのであればテレワークでもなんとかやっていけそうですが、新たなビジネスモデルの創設となりますと、信頼関係の創設を含めて、やはり対面でのコミュニケーションが不可欠ではないでしょうか。財務省幹部研修も、人事異動で3分の2の方とは初めてお会いするわけですが、その初見がWEB上で、というのは寂しいですね。
しかし私のような単発の研修講師でも「寂しい」と感じるのですから、大学の前期すべてを担当された大学の先生方にとっては、本当にご苦労が多かったと拝察いたします(ひょっとして後期もですよね??)逆にWEB講義のほうが評判の高い先生もいらっしゃるかもしれませんので、私もWEB研修で実力を発揮できるように工夫してみたいと思います。今年度は本省だけでなく、各財務局の職員の皆様への研修も予定されていますので、ホンネベースで語れるよう尽力いたします。
編集部より:この記事は、弁護士、山口利昭氏のブログ 2020年8月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、山口氏のブログ「ビジネス法務の部屋」をご覧ください。