今、お金を一番手っ取り早く増やす方法は何がよいか、といえば株式が最も手堅いと思います。手堅いという意味は少額でも参戦できる、換金がしやすい、動きがあるという理由ですが、当然リスクも大きくなります。例えば今まで0.2-0.002%の金利(100万円で年2000円から20円)しかつかない定期預金を大事に持ち続けている方にとって株式のように元本割れの可能性がある金融商品に対しては心理的なバリアが大きいものです。
ではこう考えたらどうでしょうか?日本の物価上昇率は1%弱。定期預金をすると実質の資産は目減りしてるのです。(1年後には100万円の物価が101万円になっているのに定期預金は2000円から20円しか利息がないから8000円から9980円損をするという考え方です。)高齢者や女性の方には銀行の手数料などに大変細かい方が多いのですが、定期預金というと案外、「それなら安心だからね」で資産が目減りしているにも関わらずホイホイ定期預金の更新をしたりしているのです。繰り返しますが、定期預金は毎年1%ずつ、損をしているのと同じなのです。
お金を増やす商品はたくさんあります。不動産、金、仮想通貨、絵画、商品相場、為替、海外株式…。時として未上場の〇〇に投資すれば配当がこんなにあるというババ掴みする高齢者や女性の方も多いのは気持ちの中でもっとお金を増やしたいという気持ちがあるけどどうやったらよいかわからないという方が多いのです。
以前、お金の話をしたときに私は投資信託と申し上げました。反対の声もあったのですが、株式市場にさっそうと参入しますと言っても東証一部だけで2173銘柄、その他市場を入れると3716銘柄もあるのです。どうやって選びますか?また、売り時、買い時はどうやってタイミングを計るのでしょうか?短期、長期、リスクテイクはどこまでなどそれこそ質問すれば皆さん、詰まってしまうと思います。だからこそ、初心者には投資信託は楽なんです。
ただ、投資信託には二種類あることだけは知っておきましょう。パッシブ運用とアクティブ運用です。勧誘員はここを言わないケースもあります。注意してください。パッシブとは様々な指標に基づくバランスに優れる投資でアクティブはプロが個別銘柄を選ぶものです。結論的にはタイミングにもよりますが、アクティブの勝率はパッシブと比較すれば25%程度だろうと思います。つまり、パッシブの方が確実だと思います。
次に日本の株価とは日本経済の生き写しでありますが、今から10年、20年というスパンで考えて成長するのか、フラットなのか、衰退するのか、自分なりに考えてみることが大切です。経済ですから個別の会社の話ではありません。日本全体です。
一般に言われるのはアメリカのパッシブ運用が最も優れているとされます。日本でも買えます。
なぜ投資信託の時代が来たのでしょうか?私は不動産事業を30年以上やっていますが、この間に大きく変わったことがあります。それは事務所やホテル、大型賃貸物件、産業用の不動産はほとんどが個人や会社所有からREITや機関投資家の所有に変わったということです。つまり、不動産の世界はいち早く個人や会社がどれを所有しどう運用するかという時代からおさらばしているのです。理由は高すぎて個人や企業では手が出ない他に管理や集客などはプロの運営がマストの時代になっているからです。
同じことは株式にもいえるのです。よほどの経験者ではない限り個別銘柄を自分で選択し続けるのは難しい時代なのです。私は北米で50銘柄ぐらい運用していますが、正直、この時期は所有銘柄の四半期決算発表の中身を読み込むのに苦労するのです。その会社で何が起きているのか、今後、どういう展開になるのかぐらい知っているのは株主としての当然の義務であり、それゆえの成果なのです。しかし、一般の方にそれを求めるのは酷だろうと思うのです。
投資信託を生理的に受け付けないという方もいらっしゃるでしょう。その場合には不動産REITは極めてうまくできている商品です。それは会社なのに9割以上配当しないと税務上のメリットを取れないので稼いだお金は株主に配当としてばら撒くのです。日本ではストレートなREITしかありませんが、アメリカには変形REITがたくさんあります。それらの利回りはコロナ前には年10%を超える銘柄がごろごろありました。それがコロナになり配当が5分の1、10分の1、ひどいところはゼロになります。オーマイガッドでしたが7月の配当期(北米は四半期の場合1、4、7,10月配当が多い)はだいぶ配当が回復しています。つまり北米市場は回復力も日本に比べてはるかに早く強いのです。
勿論、投資ですから個人の好みがあります。インドが将来の成長国だと思う方はそこに行けばいいでしょう。ですが、私はインドに行ったことがありません。そこでビジネスもしていません。そこに投資するのは恐ろしくてしょうがないのです。私、小心者ですので。同様にFXでトルコリラは日本人のFX層には人気の通貨ですが、理由は利回りなんです。しかし、トルコのカントリーリスクを考えるとたかが通貨のペアでなんで知らない国の知らない通貨に投資しなくてはいけないのかさっぱりわからないのです。そんな目先の数字に振り回されないためにもプロに任せる方がよいのです。
ビギナーズラックという言葉があります。初めは案外成功するものなのです。しかし、我々は何十年というスパンで勝ち続けなくてはいけないのです。これは正直、プロでも不可能です。あのバフェット氏だって神通力は既に無くなっています。時代の移り変わりとともに銘柄も投資先もどんどん変わっていくけれど個人がそれに適応するのは極めて困難だと申し上げておきます。それを生業にするぐらいの方ではないともはや難しくてついていけない時代になったと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年8月9日の記事より転載させていただきました。