一昨日、衝撃の数字が発表されました。
日本の2020年4~6月期の国内総生産(GDP)は、前期の1~3月期からマイナス7.8%、年率換算で27.8%減少という数字です。マイナス27.8%という数字は、リーマンショック時の17.8%減を超え、GDPを遡れる1955年以降で最大の落ち込みということになります。
その意味を噛み砕いて考えると、今年1年の経済が3割ぐらい昨年に比べて減るという意味ですから、勤めている会社の売り上げが3割減り、あなたの給料も去年に比べて3割減ると考えればいいわけです。
今年の給料が去年に比べて6割ちと考えると、これすごいことだと思いませんか。それでも日本はまだマシなんです。
アメリカのGDPは昨年と比べて年率で32.9%のマイナス、アメリカも日本と同様に現在の統計をとり始めて以来、最大のマイナスでした。ドイツをはじめとしたユーロ諸国はマイナス40.3%減、インドは40%減、ブラジルは51%減と新興国も相当な痛手を被っています。経済の主要国では新型コロナウイルスを発生させた中国だけがプラス、新興国ではベトナムがプラスになっています。
中国やベトナムがプラスになった要因は、強制的に、強硬にコロナを封じ込めたからとなります。そうは言っても、その封じ込めが遅れたり、長期間化している国はやはり相当痛手が大きく、ヨーロッパやアメリカがそうですね。それに対して日本がマシだったのは、人の移動をストップさせなかったからですね。それが良いか悪いかは置いておいて、いわゆる自粛要請しかできなかったから日本はまだマシだったということになります。
GoToTravelキャンペーンも賛否いろいろありますが、今の日本は新型コロナと共存して経済を再開させていくというスタンスにあります。しかし、問題はこれからどうなるかです。
経済の専門家エコノミストたちは、7~9月期は前期(4~6月期)に比べて10%以上のプラスを予想しています。しかし、4月から6月期が27.8%下げていますから、10%プラスになったとしても半分も取り戻せない。今期は前期の反動で10%以上と見ているわけですが、それもどうも長続きしないと予想しているようで、10~12月期は5%ぐらい、1月~3月期は3%ぐらいのプラスということは、少しずつ下がっていくと見ているんです。
そうなると、withコロナで経済を続けていったとしても、経済がコロナ前の状態に戻るまでには3~4年かかるという見方が多いです。さらに秋から冬にかけて本当の意味での第二波が来たらというのは織り込んでいませんから、もしそうなったらもう1回経済がどんと落ちる2番底という警戒もしなければなりません。
もちろんコロナは怖い、でも経済がどんどん低迷していったら生活が成り立たなくなる人も増えてしまいます。とにかく我々は今、人類史に残る初めての出来事の中にいます。
その意味では、世界も日本も、各国の政治は暗中模索が続きます。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年8月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。