コロナショックにより、リーマンショック以上の金融マーケットの混乱があると予想されました。しかし、現実はそれとは正反対の動きになっています。金融マーケットでは「コロナパーティー」が始まっています。
アメリカの新興企業市場であるナスダック指数は、既に史上最高値を更新しており、代表的な株式インデックスであるS&P500も、先週末に史上最高値を付けました。
日本経済新聞によれば、世界の株式市場でPERが100倍を超える銘柄が増えてきているそうです(図表も同紙から)。
その中でも注目を集めているのは、EV(電気自動車)のテスラです。数カ月前に時価総額がトヨタ自動車を抜いたことが話題になりましたが、今や時価総額は日本円で40兆円に達して、トヨタ自動車だけではなく、フォルクスワーゲン(VW)とダイムラーという大手3社の合計よりも大きくなりました。ちなみにテスラのPER (株価収益率)は160倍と、期待が株価に大きく折り込まれた状態です。
世界的に好調な株価の動きは、一部の銘柄に偏っています。金融緩和による金余り資金が、成長が期待できる企業の株式に集中して、全体の株価を押し上げる状況です。実体経済の反映というより、期待先行の面が強いのが気がかりと言えます。
懸念材料は、他にもあります。それは、ロビンフッダーと呼ばれる新しい投資家が流入して株価を押し上げていることです。今まで投資に縁の無かった個人がマーケットに参入する。これには、バブルの匂いがします。
個人投資家が考えるべきことは、この「コロナパーティー」が、何をきっかけに、いつ終わるのかです。
金余りは続いており、これからも出遅れた投資家がパーティー会場に押しかけて来るかもしれません。そうすれば、まだ株価は上昇します。
しかし、パーティー会場に遅れて入って、気がついたら会場には誰もいなかったという事態は避けなければいけません。
リアルなパーティのスマートな参加者は、早めにサッとやってきて、ダラダラと最後までいることなく会場を後にします。コロナパーティも、そんなスタンスが後から後悔しないためには大切だと思います。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年8月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。