昨日8日(火)、自民党の総裁選挙が告示されました。とはいっても、すでに話した通り今回は来週14日(月)の両院議員総会での投票です。
告示前日の3人の候補者は三者三様の動きをしました。菅氏は官房長官として台風などでの公務優先、石破氏は明らかに弱い国会議員票を求めて議員会館回り、岸田氏は台風で地方行きを取りやめオンラインでの活動でした。
さて今回の総裁選挙については既に何度も言ってますが、両院議員総会で国会議員による投票がメインですから、はっきり言って菅官房長官の当選で決まりです。正直、47都道府県それぞれに割り当てられた3票ずつを、石破氏がどれだけ善戦してアピールできるか、また岸田氏も票を積み増して堂々たる2位に入れるのか、これらはいずれも次のポスト菅に向けたアピールになります。
私は安倍総理が辞任表明をした2時間後に、ニュー速通信社のYouTubeで菅さんと岸田さんに絞られたと言いましたし、ここに至るまでは全部読めていました。それはなぜかというと、私自身も辞任カードをタイミングを見計ってきったからです。
総理と一緒にするのも失礼ですが、私の辞任とこれは同じだと思ったからなんです。今回の安倍総理の辞任表明は、持病の悪化と政治判断に間違いがあってはならないということを理由としていましたけれども、確かに持病はあって悪化もしていると思いますけれども、本意は違うと思います。それはすでに話しましたけれども、このタイミングで辞めれば後継を総理の意中の人にできるからということで、その意味するところは安倍政権の路線継続です。
私は7年6ヶ月、とにかく横浜の発展のために力を尽くしたつもりです。まずは行政改革を徹底してやりました。日産自動車などの企業誘致、公営企業の黒字転換、これらの集大成として、横浜市の債務縮減を実現しました。これらは、大げさではなく人の生死に関わる決定もあるわけで、神経をすり減らし、批判にさらされ、白髪になって、不眠にもなりました。トップになってそうやって真剣に改革をやるのは、10年、あるいは3期12年も続けられません。4期16年とか5期20年と首長続けている人は、よほどそういう改革をしていないか、もしくはその地域によほど人がいないかのどちらかですね。
私が財政の健全化を果たした路線の継続を考え、自民党から当時の民主党まで与野党相乗りのオール与党体制で選挙準備が進む前に辞任をしました。任期満了まであと半年ちょっとというタイミングでしたから、政治談合が進み、オール与党候補が擁立されてしまえば、選挙はもう決まってしまいます。そうなると財政はまた議会と行政が一緒になって、どんどんどんどん悪化をしていくことになるからです。だから衆議院の解散に合わせて総選挙と横浜市長選挙のダブル選挙にしたんです。なぜならば、総選挙になれば自民党と民主党は絶対に手を組めないタイミングだからです。
投げ出し批判もありましたけれども、私が批判を浴びたとしても、いかにオール与党を阻止し、そして財政健全化の路線を継続させるかということでした。
私は自分の著書政治家の殺し方にこ「考え抜いた末の辞任だった」、「改革を後戻りさせない候補者に引き継ぎたい」と書いています。さらに「批判を受けることはある程度予想しつつも、市民にとって何がプラスかということを天秤にかけての辞任だった」とも綴っています。安倍総理も間違いなくそうです。私以上に、総理の信ずる国益ということを考えての辞任カードだったといえます。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年9月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。