国勢調査から考えるデジタルの必須要件は、ユーザビリティとアクセシビリティ

国勢調査が始まった。2015年にはパソコンによる回答がうまく出来ない問題があったので、今回もわざとパソコンでの回答を試みた。その結果はきわめてスムーズ表形式での回答駆逐されて、アクセシビリティは改善されてい。調査元の総務省がきちんと前回の問題に対応していたと確認できた。

昨年度総務省所管府省共通情報システムの一元的な管理・運営」が行政事業レビューの対象になった。僕は「意図的に」アクセシビリティに対応するように求める発言をし、総務省もデジタルガバメント推進標準ガイドラインに沿って必要な対応を行っていくと回答した。この問答が事録に残っている。国勢調査での不備についても他の回で発言した記憶がある。

繰り返し注意喚起しないとアクセシビリティ対応は進まない。それが現状である。

確定申告時期になると税務署の特設会場に多くの人が集まり、パソコンを操作して申請書を作成る。会場には税務署員らが回遊し、申請者の質問に答えてくれる。一見親切な仕組みだが、使い勝手(ユーザビリティ)がよければ操作に関する質問は出ないはずだ。

毎年同じ情景が繰り返されるのは、質問を記録してそれを基に改良するという、情報システムでは当たり前の開発態勢を取っていないためだ。

デジタル・ガバメント推進標準ガイドラインの前身にあたる「電子政府ユーザビリティガイドライン」2009年)の作成会議で、僕は主査を務めた。その際にも確定申告システムは批判されたのだが、10年以上にわたり改善ははかどっていない。ユーザビリティも繰り返し注意喚起する必要があるというのが現状である。

平井卓也デジタル改革担当大臣(本人サイト:編集部)

利用者が使え(アクセシビリティ)、かつ使いやすい(ユーザビリティ)と保証されなければ、デジタル・ガバメントは使い物にならない。平井卓也担当大臣政府全体のデジタルを推進する際にも、検討すべき必須要件の一つである。