ブラジルは、大統領が早々に新型コロナ対策より経済を重視したことで世界中から批判されましたが、新型コロナ死者は周辺国と比べて突出して多いというわけではありませんし、横ばいで収束しています(ただし知事が知事の権限でロックダウンしていた)。総死者数はもっと厳密にロックダウンしていたペルーの方が多いくらいです。
ロックダウンにより経済を破壊しなかったことが評価され、ボルソナロ大統領の支持率が上昇しているという記事も出ています。
ブラジル大統領の支持率、過去最高に コロナ対応めぐり物議醸すも(時事通信)
ところで、ブラジルの新型コロナの死者は13万人以上と計上されていますが、こちらのページによると、前年2019年と比較すると増えた死者は10万人程度となっています。
この図は、新型コロナの死者に加えて、それ以外の死因による死者、前年2019年との比較も記載があり、ブラジルの死者の傾向が分ります。下図は第28週を例にとって拡大して注釈をつけたものです。
つまり2019年第28週(7月6日〜13日)の死者は2万5703人で、今年2020年の第28週は新型コロナ死者が6460人計上されましたが、その他の呼吸器疾患死者やその他の死因の死者が減っているので、全体の増分としては3480人であり、新型コロナ死者より3000人程少なくなっています。
新型コロナによって他の死因で亡くなりそうだった方の死因が新型コロナになったと見ることができます。もしくは意図的な死因の付け替え、水増しがあるのかもしれませんが、新型コロナの死者だけを見ずに、全体の死者や例年の死者と比較するのであれば、本来、死因の水増しは大きな問題では無いはずです。
ブラジルの年間死者は、昨年2019年は128万人でしたので、今年は140万人前後になるかもしれません。しかし、これが未曾有の危機といえる程の大きな数値なのでしょうか?
ブラジルの人口は 2億1256万人なので、人口100万人あたりの新型コロナ死者は483人となります。
2015年には前年より、100万人あたり200人程の超過死者が出ていますので、 それと比較すると新型コロナでは2.5倍の死者数増です。ブラジルの月ごとの死者データが 2014年から2019年までしか入手できなかったのですが、 それでもこのくらいの死者増を記録した年が見付かります。
拙稿、欧州での過去40年分のデータを見れば500人程の死者数増が出た年が幾つか見付かるので、それらと比較すれば同程度となります。
以上、ブラジルでは報道されている新型コロナ死者数13万人に対して、去年からの死者数増は10万人という話でした。
一方でブラジルと人口あたりの死者数が同程度の米国では逆に死者数増の方が多いという記事があり、ロックダウンをしたことによる弊害だと述べられています。
ボルソナロ大統領は、余命の少ない方が新型コロナを死因として亡くなるのを許容し、その代わりに現役世代を救ったのではないでしょうか。
藤川 賢治
東京都在住パワーリフター、本職はネットワーク系の研究者・技術者