党青年局長の任期を満了しました。
この1年、青年局を政策実践集団に移行し、社会課題の解決に貢献する、という目標を掲げて活動をしてきました。それにはまず、組織を徹底的にデジタル化して、全国のメンバーでフラットに情報交換ができるチームになろうと意識を合わせ、政治力だけでなく政策力をつけ、地方から全国を塗り替え行こうと旗を立てました。
結党以来の歴史ある大所帯において大きな挑戦ではありましたが、全国の青年部・青年局メンバーの熱意、党青年局職員の改革への意欲、そして役員を務めた国会議員の皆の支えもあり、コロナ禍という不慮の事態にも関わらず、意外にもスムーズに体制を整えることができました。
政策実践集団として走り出し、実績を出すところまでやり切れたことは、自民党におけるファーストペンギンである青年局の役割を果たすことができたと同時に、私自身、多くの仲間を得たことは、自信に繋がりました。応援していただいたすべての皆さまに感謝の気持ちでいっぱいです。
昨今よく言われるデジタル化による変革(DX) は、デジタル化自体が目的と誤解される場合が多くありますが、本質は、その組織が提供する価値を再定義し、デジタル技術を活用することで、本来もつ力を最大限発揮し、社会に対し良い影響を与えることだと考えています。
なお、政治・行政のDXは上記のような効果だけでなく、官が範となる姿を示すことで、民間の変革を促す副次的効果も見込まれます。その様な意味でも、政権与党である自民党のDXは政治行政のDX推進に大きく影響し、そのためには青年局が小さく始めて、成功事例を共有していく必要があると考えていました。
まずはイントラネットを構築し、党本部で議論された情報や資料を全国のメンバーに共有できる仕組みを作りました。重要な情報は動画配信のツールを使い、専門性の高い国会議員によるレクチャーを行います。また、全国的な社会課題は全国の議会で一斉に質問できるよう、必要な資料を作って共有しました。
さらに、有権者の皆さんからの質問にきちんと対応できるための説明資料の提供や、全国の成功事例、地域でのメディア説明会開催に役立つツールなどを提供しています。これまで党本部から県連幹部、県連から各メンバーへと伝言される仕組みで時間と手間がかかりがちでしたが、メンバーであれば誰もが必要な情報にフェアにアクセスできる仕組みにしました。
毎週の定例会もオンライン化し、全国のメンバーをオンラインで集め国会議員が地元にいても意見交換を行いました。青年局の最高意思決定機会である全国青年部・青年局大会もオンラインで開催しました。大勢が一同に集まる会議はスケジュール合わせや会場探しなど準備が大変ですが、オンライン会議はそれも省け、チャット機能の活用により、むしろ多くの質問が出て活発な議論が生まれる効果もありました。役員会後の記者ブリーフィングもオンラインとオフラインのハイブリッドにすることで、記者クラブ以外のメディアやジャーナリストの皆さんも参加しやすくなりました。
そのような日頃の積み重ねにより、任期中に組織規約改正を実現し、党大会での決定が必要であった活動方針、役員の決定などを、オンラインで議決可能とすることができました。これは自民党史上初めてのことで、青年局の規約改正自体も20年ぶりとなります。
また、党の政調会の多くがオンラインで開催されるようになったこと、さらに先の総裁選で候補者公開討論会をオンラインで開催できたことも非常に大きな成果です。青年局のデジタル化を政調に展開でき、また、総裁を選ぶ場をオンライン化できたわけですから、自民党はDXできる、ということを体現できたということになります。
それに関連し、残念ながら、多くの青年局のメンバーが望んだフルスペックの総裁選は、私の力不足で実現できませんでした。しかしながら、そのできない理由が、党員名簿の管理がアナログで時間がかかり過ぎることだとの説明を受け、そこから押し戻せなかったことは、思い出すだけでも悔しい限りです。党員募集、入党手続き、党費の決済から名簿管理まで、デジタル化しておけば、実務面でできないということは少なくともなかった。この問題は、今回の事案に直面した私が、仲間とともに、自民党所属の議員として今後取り組んでいきたいと考えています。
もう一つ、73歳定年制堅持を求めた事案についても、今後の政治活動に大きく影響する学びと仲間を得ました。これまでの青年局の73歳定年制堅持の主張は、若者にチャンスを作るため、枠を確保すべきというものでした。しかし、この多様化する社会において、今回の我々の主張は、多様化する社会課題を解決できる多様な政治人材を確保するために、比例枠を活用すべき、そのために定年制を確保すべき、というものです。決して世代論ではありません。
政治人材の多様化は急務です。特に不足している女性、科学技術分野など専門性を必要とする分野の人材、社会的マイノリティーを代弁できる人材など、選挙のノウハウや体力的なハンディがあったとしても、この国に必要な人材が政治で活躍できるよう、門戸を開いていかなくてはなりません。多様な候補者を増やしていく活動については、青年局の活動を通してできた全国の仲間や民間の皆さんと一緒に、引き継ぎ取り組んでいきたいと思います。
当初活動方針として掲げた防災への取り組みと台湾外交については、コロナ禍の影響で、予定通りには行きませんでした。しかし、前半に防災ボランティア実践のフレームワークを立ち上げることができたこと、オンラインを通してのコミュニケーションが進んだことは、視察や表敬訪問を主軸としていた活動から、一歩前に進めることができました。特に防災については、青年局で防災ハンドブックを作り、被災時に活用できる制度について情報を一元化し、全国の青年局メンバーから地域の皆さんに提供できるように、こちらもイントラネットを通じて共有しました。
このように大きく変革を遂げた青年局を後任として引き継いでもらうのは、牧島かれん衆議院議員です。党のデジタル社会推進特別委員会で事務局長を務め、DXに知見があること、また、社会のダイバーシティに長く取り組み、実践してきていること、そして、直前は青年局国際部長として台湾外交の先頭に立っていたことなど、今の青年局に必要なリーダーとして推薦しました。女性であることは今回の選出の理由ではありませんが、それでも自民党のファーストペンギンである青年局のリーダーとして、政治のダイバーシティの象徴的な役割にも期待していますし、国民の皆さんにも注目していただけたらと思います。
国民の皆さんに知っていただきたいのは、全国の青年局のメンバーを始め、地域で政治に関わる議員の多くが地域をよくしたいと頑張っている、ということと、どんな組織も変わることができる、という希望です。デジタル化により組織や社会をフラット化すれば、情報や機会をフェアに得ることができるようになり、不透明なことがもたらす不公平や不安を減らすことが可能です。さらに進化し、プッシュ型で必要な情報が適切に届くようになれば、地域や組織、国民それぞれが、自走に必要な力を得ることができます。
青年局長の任を通して得た多くの経験と仲間とともに、引き続きテクノロジーの社会実装により、多様でフェアな社会の実現のため、邁進して参ります。引き続きご支援のほど、よろしくお願いします。
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編集部より:この記事は、衆議院議員、小林史明氏(広島7区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2020年10月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は小林史明オフィシャルブログをご覧ください。