クラリベイト引用栄誉賞(番外編)+日本学術会議任命の謎深まる

日本学術会議の問題は、さらに混沌としてきた。総理が99人のリストしか見ていないと発言した。そうなると総合的・俯瞰的に判断した人物は誰になるのか、大きな謎になる。総理の任命権を勝手に侵して、6人の任命を排除した人がいるというのは、かなり大きな問題だ。決定プロセスが不透明であることを政府自体が認めたことになってしまう。日本学術会議の価値そのものの議論にすり替えようとしているように見えるが、この任命プロセスの問題は別次元の話だ。任命拒否された人を誰がどのように決めたのか、謎は深まるばかりだ。

そして、ここでこんなことを書くと叱られるかもしれないが、引用栄誉賞の受賞者であるとの連絡を最初にいただいたのは8月4日であった。このメールにはまったく記録にも記憶にも残っていない。二度目のメールを受け取ったのは8月10日で、これも迷惑メールボックスにあった。この時は、お盆休暇が始まっていたので、このメールボックスのメールの数は少なかった。

メールのタイトルは[Important and confidential] Congratulations on your selection as a Clarivate Citation Laureate for 2020とあった。本文もCongratulationsで始まっていたし、[Important and confidential]はいかにも怪しげだった。普段は簡単に消去するはずなのだが、Citationという言葉とあて先にシカゴ大学のメールアドレスがあったので(今はアクセスできないのだが)、ふと目が止まった。がん研究会とシカゴ大学のアドレス2つあることが、迷惑メールでないのでは、と思いついたようだ。

瞬間的なので定かではないが、「重要で秘密」と「引用」という文字が結びついたのだろう。しかし、もし、お盆休暇中でなく、迷惑メール数が多ければ、一括で捨てていたかもしれない。その場合、この賞はどうなっていたのだろうか?

そして、台風で、本日予定していた内閣府のAIホスピタルプロジェクトのシンポジウムは中止となった。今回の台風の進路予報がなかなか難しいので、ギリギリまで判断を待つべきだったかもしれないが、新幹線や飛行機で参加される方もいたので、早い目に決める必要があった。

台風の直撃はないようだが、今日の午後は強風と大雨の予想なので、これも致し方ないことだ。病院でのリスク回避を謳っているのだから、参加者に事故などあっては大変だ。延期ではないのかといった問い合わせもあったが、日本医師会長と日本医学会長にご挨拶していただく予定だったので、その日程調整は容易ではない。そして、冬にはコロナ感染拡大の懸念もあるので、やるとしても、来春で計画するしかない。


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2020年10月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。