自民党は本来懐の広い政党なので、典型的な右の人もいればほどほどにリベラル色の強い人もいる。
右から左までどなたでも受け容れそうな包容力がある政党なので、結果的に小選挙区制選挙を採用している限りは、多種多様な有権者の支持が得られるようになっているのだろう。
もっとも、自民党の中では典型的な右の発言をする人が相対的に目立って羽振りがよくなる傾向があるので、目立ちたい方はリベラルよりも右側の陣営を意識した発言をするようになりがちだ。
時の世論や時の政調会長の個人的資質にもよるが、政調会長があまりにも一方に偏した発言をするようになると、自民党全体のイメージが大きく左右されるようなことにもなりかねないから、政調会長は自分の発言がどのような影響を齎すか、よくよく考えられた方がいい。
岸田さんは、ほどほどの政調会長だったと思う。
岸田さんの発言で自民党が大きなマイナスを背負いこんだ事実はない。
自民党の支持率が一貫して高止まりしていた要因の一つは、政調会長の岸田さんの発言が政治の安定を望んでいる穏健保守の層の心とほぼ同調していたからだと思う。
岸田さんの後の政調会長に就任した下村博文氏の動静が注目されている。
岸田さんとの違いを打ち出すためにあえて右寄り発言をするようになると、実は危ない。
総裁候補に名乗りを上げようとするのなら、やはり懐を広く、かつ深くしておく必要がある。
慌てないことである。
ここで急ぎ過ぎてしまうと、きっとどこかで躓いてしまう。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2020年10月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。