新刊「江戸三百藩の通知表」(宝島社)については、先週も紹介したが、そこで別の本で選んだことがある日本の100名城にランキングをつけた。かつての姿を基準にした①歴史的価値、②現在の城の現状、③城下町の魅力についてそれぞれの点をつけ、それとは別にして観光の対象として②と③を勘案した総合評価をつけてみた。
ここではベスト20の短評を出しておこう。
①姫路城 桃山風の華麗なデザインだが、真っ白な漆喰で塗り込めた白鷺城。御殿はない櫓や門はほぼ完璧に残っている。
②彦根城 国宝四天守のうちの1つやいくつかの櫓も残るが、藩主別邸とその庭園、、全国で大名のお宝が良好にのこる博物館、城下町など総合点が高い。
③熊本城 古風なたたずまいと要害堅固の極致ともいえる石垣は見事。本丸御殿も再建されたが地震で大きな被害を受け修復中。
④大阪城 石垣と堀の見事さは日本の築城技術の頂点を示す。天守閣は昭和の再建だが見事なデザインで日本人の名城のイメージのスタンダードといえる。
⑤二条城 お城の天守や城門は多く残るが御殿は維持コストが高いのあまり残っていない。そのなかでダントツは二条城。大政奉還の場でもある。
⑥松江城 天守閣は5番目の国宝天守になった。武家屋敷、クルージングができるお堀、美しい官庁街とのコントラストなど城下町としての魅力は第一級。
⑦名古屋城 戦前は姫路城と並ぶ名城と言われ、城保存運動の原点でもある。戦争でほぼ全焼したが天守に続き御殿も再現された。
⑧安土城 日本の城の原点は安土城にある。石垣はよく残っているし、博物館も非常に優れている。
⑨江戸城 土木技術的には大阪城ほどではないが自然を取り込み風景として美しい。二重橋の風景は秀逸。
⑩松本城 数個の櫓からなる天守閣が国宝として残る。とくに外国人から日本の城を代表するイメージとして捉えられている。
⑪犬山城 国宝で桃山様式の天守閣が単独で残る、木曽川からの風景は、李白の漢詩二出てくる白帝城のイメージを彷彿。
⑫弘前城 天守閣などが残るが建築としてはそれほどでもない。ただ、全国屈指の花見の名所であり、城下町の風情もよく残る。
⑬萩城 建物は何も残らないが廃墟の美と最高クラスの城下町、歴史の舞台としての付加価値あり。
⑭高知城 天守閣、本丸御殿、追手門の3点セットが残っているのが魅力。
⑮松山城 比較的高い丘の上に天守を始め多くの建築が残り、それが麓からよく見えるのが魅力。
⑯唐津城 天守閣は復元でなく新たにつくられたものだが、海越しに見る風景は日本一かもしれない。
⑰名護屋城 秀吉の朝鮮遠征の根拠地だが、驚くほどよく残る。ただ博物館の展示は自虐史観の極致なのが残念。
⑱岡山城 日本三名園のひとつ後楽園からみる天守閣の風景はとてもインスタ映えする。
⑲会津若松城 蒲生氏郷創建の天守や石垣がよく残り、藩校を復元したテーマパーク、ムッソリーニ寄贈の白虎隊顕彰碑などレアもの多数。
⑳金沢城 大学が立ち退いたのち復元工事も進み、兼六園や城下町とあいまって評価上昇中。