混迷極める大統領選、アノマリーに基づく勝者の見分け方②

1992年の米大統領選でクリントン陣営が「It’s the economy stupid!」と発言して、あまりにも有名です。

(写真:vpzone/Flickr)

(写真:vpzone/Flickr)

今年はイデオロギーの対立を始め米経済はそれほど重要視されていないと言われますが、

それでも、コロナ禍という事情もあり、米大統領選の投票を左右してもおかしくありません。

というわけで、失業率のアノマリーをおさらしていきましょう。

1960年以降、米大統領選直前に失業率が0.5ポイント以上の上昇した時には、現職の大統領あるいは与党の候補が敗北してきたものです。しかも、勝率は100%なんですよね。

今年はコロナ禍で失業率が過去最悪を更新、その後も高止まりを続け1月の水準に程遠い状況。従ってアノマリー上はバイデン勝利を示唆していますが、失業率は5ヵ月連続で低下しています。

未曽有の危機を迎えた直後なだけに、判断が悩ましいのが実情です。

チャート:1960年以降、失業率悪化局面の政権交代は4回、そのうち3回は民主党政権の誕生を迎えました。(作成:My Big Apple NY)

チャート:1960年以降、失業率悪化局面の政権交代は4回、そのうち3回は民主党政権の誕生を迎えました。(作成:My Big Apple NY)

もうひとつは、米株相場が表すアノマリー。この方が教えて下さったところ、S&P500にはプレジデンシャル・プレディクターが存在するのだとか。

1031日のS&P500の水準が731日の終値を上回れば、現職の大統領あるいは与党の候補が選挙で勝利してきました。逆に、10月末のS&P5007月末を下回って推移すれば、野党が政権を奪回するというものです。

1936年以降、S&P5007月末の水準を上回った回数は13回、そのうち現職あるいは与党候補が勝利したのは11回ですから、勝率は85となります。

逆にS&P5007月末の水準を下回った回数は8回、そのうち野党が政権交代を遂げたのは7回で、勝率は88%に及ぶのですよ。

とうわけで、S&P500のチャートをご覧に入れましょう。

チャート:S&P500の推移(作成:My Big Apple NY)

チャート:S&P500の推移(作成:My Big Apple NY)

はい、あくまで10月27日時点までですが、7月末の水準3271.12を上回って推移しています。従って、このままいけばトランプ再選を示唆するわけですが・・・明日は別のアノマリーを検証していきましょう。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2020年10月27日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。