オバマ氏が回顧録で鳩山由起夫元首相を酷評

八幡 和郎

オバマ前大統領が、17日、回顧録「A Promised Land(約束の地)」を出版した。768ページという大作だが、これは予定されている2冊の上巻に当たる。上巻では、主に2008年の大統領選とオバマ政権の1期目がテーマになっている。

このため、安倍政権時代のことはあまり出てこないようだが、鳩山由紀夫元首相を酷評していると話題になっている。

来日したオバマ大統領と会談した鳩山首相(当時)(2009年11月13日、民主党サイトより)

 オバマ大統領は、在任中に4回訪日しているが、その第1回は、2009年11月13日-14日で鳩山由紀夫首相と会談している。鳩山氏について、「3年間で4人目の総理大臣で、日本を悩ませてきた、硬直化し、迷走した日本政治の象徴だ」「感じは良いが厄介な同僚だった」と酷評しているようだ。

 「自分はオバマ大統領とは信頼関係があり、普天間についても理解してくれたはずだ。邪魔したのは日米の閣僚と官僚だ」と最近もありそうもない希望的観測を述べている鳩山氏も、がっくりという所だろう。

だいたい、安倍政権の安保法制も、オバマ政権のたっての要望を実現するためのものだった。アメリカが日米の安保面での協力の足ばかり引っ張っている人たちに好意的なはずなかろう。

逆に言えば、日本の保守の人には、民主党やオバマ氏を左翼扱いして罵詈雑言浴びせている人が多いが、少し冷静になるべきだろう。アメリカのリベラルは日本の偽リベラルとは別物だ。

なお、この回顧録の中でオバマ氏は、2008年の大統領選挙で、副大統領候補にバイデン氏を選んだ理由について、「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」は、かつては発言内容を精査することなく、頭の中に浮かんだことを何でも相手を共有する傾向があるところが難点とみていたが、「良識人であり、誠実かつ忠誠心が高い」点を評価し、

「ジョーを仲介役として選んだ理由の1つは――上院議員としての経験や議会交渉における手腕に加え――共和党のミッチ・マコネル(上院院内総務)は心の中で、(黒人でイスラム教の社会主義者)オバマと協力したとの印象を与えれば共和党の支持層の反発を買うのは必至だが、(バイデン)副大統領との交渉ならそうした事態にならないと考えると分かっていたから」

と書いているようだ。