神奈川県が最高のコロナ感染確認者226人となったことを受けて神奈川県知事がテレビで対策を語っていた。その一つがマスク会食だ。
なぜ、ウエブでなく、直接会って食事をするのか?ウエブで顔を合わせるよりも、直接顔を合わせる方が、コミュニケーションが深まるからだ。マスク会食の有用性を熱く語っていたが、私はそれならば、ウエブで表情を見ながら話をした方がいいと思う。もちろん私の会食相手は、日常生活で注意を払っていると信じられる人としか、会食には行かない。
そして、コメンテーターが「会食人数を絞った方がいいのでは?」と質問した際には、「マスク会食をすれば、何人でも一緒だ。4人と5人で何が違うのだ」と回答した。これには、ズッコケた。
2人で会食する際、自分が感染していなければ、その相手が感染していない限り、感染はしない。もし、4人で会食すれば、3人が同席することになる。10人ならば、同席相手は9人だ。個室だと仮定すると、同じ部屋に1人、3人、9人では、感染している人と同席する確率は3倍、9倍となる。
もちろん、9人もいると、それぞれの人との距離は差があるが、これだけ感染が拡大している中で、県のトップがこの程度の認識というのは理解しがたい。少ない方がリスクが軽減するのは常識だ。マスクをする会食を実行すれば何人でもリスクは一緒と考えるのはおかしい。
知事のロジックでいけば、みんながマスクをしていれば、コンサート会場に、同じ密度で100人でも、1000人でも、10000人でも変わりがないことになる。人数が増えれば、そこに感染している人が含まれる確率は高くなり、クラスターを誘発することになる。
科学的なリテラシーを欠いた対策で感染コントロールができるのか不安だ。経済を回すことが最優先なら、まず、徹底的に感染が広がらないような対策を国や都道府県で考えるべきであり、すべてが個人任せ、国民任せでいいとは思わない。欧米のwithコロナが引き起こした惨状から何かを学んでいるのだろうか?打つ手が遅れてからロックダウンをしても家庭内感染で感染拡大はしばらく続くのだ。
編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2020年11月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。