コロナ:医療関係者に感謝するなら、国の責任で待遇改善と差別の解消を!

テレビでコロナ差別が止まないことが報道されている。東京、大阪や北海道などの感染が広がっている地域から他府県へ行くと白い目で見られ、単身赴任者が家族のもとに戻っても家族に会えない事態が生じているという。家族と接触すると、家族が差別を受けるという理不尽な社会現象が起きているためだ。

そして、悲しいことに、医療関係者や家族への差別も依然として起こっている。感謝の輪が広がる一方で、コロナ感染に対応している医療機関関係者に対しての差別などあってはならないことが生じている。コロナ対応看護師さんたちは、過度の負担に耐えながら頑張っている。病室の消毒や掃除も看護師さんたちがカバーする状況下で、使命感を持って対応している。その中には、年配の親と同居の場合、感染を恐れ、自宅に帰れない人たちも少なくないようだ。これだけ頑張って、医療を支えている医療関係者やその家族を差別するような言動があってはならないことだと思う。なぜ、国のトップはこれについて、強く語らないのか?悲しくなってくる。

大阪や旭川では、看護師が不足して、医療供給ができないために、自衛隊に看護師(看護官)派遣を依頼している。今日、旭川に10名派遣されることが決まった。公的に報道されているベッド数を大きく下回るベッドしか利用できない。病室やベッドがあれば、医療が動くものではないという常識を理解していない人が行政を司っている不幸が医療現場を襲っている。従事する人たちがいてこそ、はじめて、医療は成り立つ。日本医師会や東京医師会から、危機的状況が訴えられているにもかかわらず、強力な対策は何ら打たれていない。過度な負担とストレスで離職者が増えれば現場は持たないし、あと20日もすれば、医療機関は正月休暇に入るので、現状の感染者数でも現場は崩壊する。どこまでそれが理解されているのか、疑問が残る。

政策決定する方々に忘れないでいてほしいのは、現場で従事する人たちがいてこそ、医療が維持できるという現実だ。このようにあってほしいと願う言霊主義では、この難局は乗り越えられない。


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2020年12月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。