菅義偉首相と明智光秀論の根本的勘違い

原稿の締め切りと大学の成績付けに追われて時事解説をサボっているが、皆さんが興味のありそうな話を二つ。

菅首相の大きな過ち

新型インフルエンザ等対策特別措置法等の与野党合意について会見する菅首相(1月28日、官邸サイトより)

菅首相が、緊急事態宣言延長を報告した3日の参院運営委員会で「結果として宣言を延ばすことになり、国民に大変申し訳ない」と述べたという。先月27日の参院予算委員会でも、「国民の皆さんに20時以降の外食、飲食また不要不急の外出を是非しないよう協力している中で、このような事態が発生したことについては大変申し訳なく思います」と謝罪している

「国民に申し訳ない」と自分に責任のないことで謝ることなどするべきでない。そして、「税金を使えば国民が返すのですよ」という当たり前のことを言わないことが、首相の大きな間違いだ。国民を甘やかしすぎるから図に乗られている。

コロナ対策に投じた金を借金でないとか返さなくてもいいとかいうカルト経済学を信じているのは一部の日本国民だけで、世界にも類を見ないことである。私はそんな経済学をいっさい擁護しない。日本人はいい加減に奇抜な魔法の経済学の存在を諦めたほうがいい。

確かに、その方針でやっても、ほんのしばらくの期間なら、財政破綻しない可能性はまったくのゼロではない。しかし、そんなことは、日本人以外は少なくとも「信じてない」。イギリスはEUから離脱してやっていけるのか?ドイツはEUのなかだから借金ができないというなら、EUが借金をすればいいのか?

ある方は、こう言うコメントを私に寄せてくれた。

「ドイツ政府はコロナ対策のために国債を大量に発行して債務残高の対GDP比率は77%となりましたが、国債発行と同時にコロナ対策の事業費と税収減を合わせた歳入不足額を埋め合わせる計画を作り、2023年以降20年間にわたる公債返済計画を国会で既に決めています」

それが普通の考え方だ。

「麒麟がくる」の本能寺解釈を楽しみにしている人に冷や水ですが

「麒麟がくる」番組公式サイトより

大河ドラマで本能寺の変をどのように描くか、私も楽しみにしている。ドラマとしてはなかなかよくできているのでいいと思う。

ただし、歴史を語る上では、このドラマがどのように終わるかは何の価値もない。歴史にはそんな謎などないのである。

大河ドラマを見ていつも思うのだが、戦国武将で平和愛好家などいるはずないではないか。

足利将軍はどうだと言われれば、彼らは徳川の将軍とは全く役割が違う。徳川将軍と言うのは領地をたくさん持った大金持ちだから平和なほうがいいのである。世の中が何も変わらずにいたら、ジリ貧であっても自分の代は何とかやっていけると言う発想である。

しかし足利将軍の場合には、大名たちが紛争を起こしてくれないと調停に出ていってお小遣いを稼ぐ機会がないのである。したがって平和な世の中を足利義昭が望むはずがない。

世の中に争いごとがなくなれば弁護士は仕事にならないし、病気がなくなれば医者が食い上げになるのと一緒である。