日本経済新聞電子版に興味深いグラフを見つけました。ビットコインとテスラ株の時価総額の推移です。
2つの時価総額は右肩上がりですが、その動きは(ビットコインの値動きの方が荒いものの)とても良く似ています。
2月8日には、テスラがSEC(米証券取引委員会)に提出した資料によって、テスラ社が先月ビットコインを15億ドル購入したことが明らかになり、それによってビットコインの価格は一段高となりました。テスラ株も、今後は保有しているビットコインの値動きに影響を受けることになります(ただし、時価総額に占める比率はわずかです)。
似ているように見える2つの値動きですが、ビットコインとテスラ株の価格変動要因は異なると考えます。
ビットコインの上昇は「希少性」によるものです。交換手段としてはまだ不十分ですが、発行量の上限が決まっていて、マイニングによる市場供給量は半減期を超える毎に更に少なくなっていきますから、希少性が高まります。
テスラ社だけではなく、昨年ビットコインに11億2500万ドルを投じたマイクロストラテジー社のように、富の価値を維持することを目的に暗号資産を保有する動きが強まれば、需給関係から価格は更に上昇します。
これは、金(ゴールド)の価格の変動要因とよく似ています。
一方のテスラ株は、自動車業界における電気自動車の将来性から投資家に熱狂的に受け入れられています。また、CEOのイーロン・マスク氏のカリスマ的な魅力も株式価値の向上に大きな役割を果たしています。
個別株式にはほとんど投資していないので、自動車業界におけるテスラの競争優位がどこにあるのかは、私にはわかりません。既存の自動車メーカーの企業価値を破壊するのか、それともテスラに対抗する商品戦略によって巻き返しを実現するのか。こちらは、収益性が企業価値の源泉ですから、テスラの成長期待が無くなれば、企業価値も低下します。
2つの価格の急騰を「バブル」と考える人も増えています。真実は誰にもわかりませんが、私はビットコインにはポジティブ、テスラにはネガティブです(現時点では、ビットコインは保有していますが、テスラ株はインデックスファンドを通じてしか保有していません)。
更に、テスラやビットコインに限らず、もしかしたら現状の世界の資産マーケット全体が「バブル」だったと振り返ることになるのかもしれません。
日経平均は、いよいよ3万円に王手がかかりました。高所恐怖症相場がいつまで続くのか、段々ハラハラしてきました。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年2月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。